GM
PKの心の疵と麦藁の村のシーン表、前半クエストを公開します。
GM
*お茶会ラウンド1 ティットの手番
ティット
*シーン表振ります
GM
1d6でどうぞ。
ティット
1d6 (1D6) > 5
GM
5:大きな壁画の前。三月兎の末裔が空から落ちている絵が大きく描かれている。
ティット
大きな壁画を真ん前で眺めている。
アルビー
「さっき見たような光景だね」
リラ
「びっくりしたなあ」
ティット
「…………まんま、あのガキと出会ったシチュエーションだよなぁ。何?予定調和?恒例行事?なんらかの通過儀礼とか?」
ティット
「けったいな村……………」
ティット
「どうにも、きな臭いんだよなぁ……そう思わない?アルビー、リラ?」
アルビー
「……正直なところ、同感だね。まだ確証があるわけではないけれど。警戒は解かない方がいいと思う」
声を落としてそう言う。
リラ
「うーん。まあ、怪しいかもしれないけど……。でも、あのうさぎの子は悪意とかまったくなさそうだったし……」
アルビー
「まあ、杞憂であると信じたいところだけど……」
ティット
「うんうん。アンタはそうでなくっちゃ。猜疑心を持つのは知性ある人間である証明ってね」
リラ
「私は、あんまり……疑いたくはないかなって思うけどな……」
ちょっと自信なさげに言った。
ティット
「うんうん。リラちゃんが脳みそお花畑な分、オイラ達が疑ってかかってバランスが取れるんだよ~」
ティット
「でも、ま、あのチビのうさぎに悪意がないってぇのはオイラも同感だね」
リラ
また、そういう……とちょっとムスッとするけど、それはそうなので反論とかはしなかった。
ティット
「ともかく、差し出された情報のみを黙って受け取る気はないだろ?どんな色付けされてるか分かんないもんなぁ?」
アルビー
「ああ。降り立ったばかりの救世主は、この世界について無知である、というのが怖いところだ。悪意のある者がその気になれば、好きに料理できてしまうからね」
ティット
「うんうん。話が早いね」
ティット
「さっきも言ったが、ゲームを制すにゃ情報を制す必要がある。オイラ達で探れそうなものは探っていこうぜ」
アルビー
「ああ、そうだね」
ティット
「――リラ。アンタはどうする?」
リラ
「それは楽しそう! せっかくだし、いろいろお話聞きたいしね」
ティット
「お!いいねいいね。フットワークの軽さは美点だ」
ティット
「それが軽率さに繋がる可能性は高いがね」
リラ
「誰かさんがおっしゃるには、どうやら私はお花畑みたいなんですけど。でも真正面から受け止める人がいたっていいでしょ?」
リラ
「ってことで聞きに行きたいかな~」
言ってやったぞ! みたいな顔してる。
ティット
きょとん。
ティット
「ははっ」
リラ
「な、なに?」
ティット
「満足そうな顔しちゃって、お手軽~」
リラ
「…………」
アルビー
「――悪意のある人はいるけど、人は悪意のみで動いているわけじゃない。俺はそう思うな。思いやりの循環がなければ、社会はすぐに瓦解してしまう」
リラの言を肯定するように言う。
ティット
「いいんでない?それも一理あるとオイラは思うぜ?適材適所。三人もいるからな。一人くらいそういう役回りを担当するやつがいてもいいよな?アルビー?」
アルビー
「ああ」
アルビー
ふと、相好を崩す。
「いや、君たちがいてよかったな」
アルビー
「見知らぬ異世界に独りきりは、心細いから」
ティット
「…………うわ、」
リラ
「アルビーさん、人たらしって言われない?」
ティット
「そうだ~そうだ~。絶対言われてるね。賭けてもいいぜ」
リラに同調した。
アルビー
「ええ? ひどいな、ただの本心なのに」
ちなみに言われたことはあるらしい。
リラ
「ね~。ちょっと心配だよね。逆上した人に後ろから刺されちゃいそう」
ひそひそとティットと言い合う。
ティット
「な~。その点ではかんっぜんにオイラはリラの主張に賛同するねっ」
ひそひそ。
アルビー
「偶然が生み出す出会いは尊い縁だから。願わくば、ここの人たちともそうありたいものだね」
アルビー
「――さあ、話を聞きに行くんだろう?」
矛先を逸らすように、ちょっと先にいるカップルを示した。
リラ
なんだかんだ言ったが、アルビーの言葉は穏やかにリラの胸に広がっていった。
ティット
「まあね。――そこの追及はまたの機会にするとして、じゃあ、とりあえずさっき会った救世主カップルたちから、この堕落の国のことを聞いてみるかね?ストレナエから情報を引き出すにゃ、まだ手札がないし、うさぎ共にゃ聞くだけ無駄っぽいし」
リラ
(アルビーさん、多分すごく優しいんだろうな)
彼は優しいけど、そこに頼りきりになるのもよくない。しっかりしようと胸に秘め、二人の提案にうなずいた。
ティット
*クエストNo.1 カップルたちから堕落の国について聞くを行います。
GM
OK! その後の行為判定含めて、判定の宣言をどうぞ。
ティット
*併せて、ストレナエ の心の疵『麦藁の女王』を猟奇で抉ります。
三月兎たち
*配下が横槍を入れます。
三月兎たち
2d6+2+2=>7 判定(脅威度+PK強化) (2D6+2+2>=7) > 5[3,2]+2+2 > 9 > 成功
[ 三月兎たち ] HP : 19 → 18
三月兎たち
1d6 横槍効果値 (1D6) > 3
三月兎たち
ヤリイカは使用しません。
ティット
*ティーセットを使用します。
GM
では、ティーセットと横槍で、-1で猟奇で判定お願いします。
GM
ティーセットも減らしてねっ
[ ティット ] ティーセット : 1 → 0
ティット
2d6+3-1=>7  判定(+猟奇) (2D6+3-1>=7) > 8[3,5]+3-1 > 10 > 成功
GM
*成功! 先に処理を行います。
[ ストレナエ ] 麦藁の女王 : 0 → -1
[ ティット ] 日刻みの時計 : 0 → 1
 
「おっ、後輩たちがいる~」
カップルがあなたたちに気づいたようで、近づいてきますね。
 
「ぶどうじゅーすはもらったかしら?おいしいわよ!」
ティット
「よぉ!先輩方。なんでも聞けって言われたからな、聞きに来たぜ~」
 
「おう!その心意気やよし!」
 
「といっても、そっちは自分が救世主ってこともさっき知ったばかりなんだよな~」
「心配だぜ」
ティット
「ははっ、先輩はいい奴だなぁ~、オイラ、アンタのそういうトコ好きだなっ」
扱いやすくて。
ティット
「じゃあ、一から詳しく教えてよ。先輩?」
 
「おーう!一から~っていうと、まずは~」
 
堕落の国の先輩は、後輩に向けて、軽めの口調でこの世界のことを教えてくれます。
 
晴れることのない空。汚染された海。荒れ果てた大地。蔓延る亡者。生き残るのもやっとの末裔たち。心の疵。救世主の力。
 
「ほーんと、元いた世界でサバイバルしていても、生きるのがやっとって感じ!この村は異例ってやつだよ。まるで魔王城前のセーブポイントみたいに!」
 
「そうそう、いろいろなばしょから、いろいろなきゅうせいしゅがくるから、それもたいへんなのよ」
 
「おはなしがつうじないひともいるし……」
「あなたたちはそうでないみたいだけれど」
 
「わたしは、ずっととらわれのみだったから、ほかのきゅうせいしゅとはなすとき、とってもくろうしたわ」
 
「でも、かれとであってから、かれがたくさんしゃべってくれるから、こまらないのよ」
「ふふふ」
お手手をつないでイチャイチャしていますね。
ティット
「それはそれは……ご馳走さん」
アルビー
「…………」
想定以上に終わり世界だなと思っている。
ティット
「ふーん、そんなに救世主ってやつはごろごろこの世界にやって来るワケ?で、誰も元いた世界への戻り方を知らないんだろ?」
リラ
「…………」
そう、それが気になる。本当に帰れないの?
 
「んー…………まあ、なんていうか。ごろごろいるだろうなあ。そうじゃなくても、救世主は救世主を探すから、しょっちゅう見かけるよ」
 
「でも、かえりかたをしってるひとにあったことはないわ」
ティット
「ってことは、ネズミ算式で増えていくワケだ?そんな特異な能力を持っている異邦人がわんさか増えていくんじゃ、元からこの世界に居る住人は堪ったものじゃないだろうなぁ……?」
 
「…………」
そこで、カップルの女の子の方が彼氏を小突きます。
 
「う、うーん…………」
 
「いっておくべきだわっ」
 
「だよなー……………………」
 
「えーっと、増えることは増えるけど、定期的に減るんだよ。救世主」
 
「…………強制ログアウト的なイベントが存在してるから」
ティット
「へぇ~……?」
ティット
「さっき、救世主は救世主を探すって言ってたじゃん?」
ティット
「それは何故?」
 
「う~~わ、この後輩、早くも重要システムに気づきつつあるな」
ティット
「システム把握は最重要事項だからなっ」
 
「うーむ。では回答しよう。その理由は、救世主は救世主を定期的に裁判で負かさないといけないルールになってんだ」
アルビー
「…………」
ティット
「裁判………?」
首を傾げて、アルビーとリラを振り返る。
アルビー
「裁判、とは? この世界にも法があるの?」
 
「ころしあいのことよ」
女の子の方がはっきりとそう言います。
アルビー
「…………」
ティット
「そりゃあ、穏やかじゃないねぇ」
リラ
「殺し合い?」
オウムのように繰り返す。
 
「きゅうせいしゅは、なにもせずに、さんじゅうにちたってしまうと、もうじゃになるの」
 
「そうならないほうほうは、ただひとつ」
「さいばんにさんかして、そのさいばんで、ひとがしぬこと」
ティット
「………………へぇ」
ティット
「そりゃまた、物騒な」
ティット
「じゃあ、何か?30日に一度、自分以外の救世主を殺すことが生存の必須条件だと?」
 
「そうね……………………」
「でも、せいかくには、さいばんでひとがしぬというのがじょうけんだから、ひとがしぬさいばんにさんかしていることが、いきるじょうけんだとおもうわ」
 
「あ~~~っ、だから!KILLの場にいるのはもうしょうがないんだけど……積極的にやるもんじゃないし!」
 
「それに、だ。他の救世主とは、基本的に仲良くなっといたほうが良いんだぜ。協力プレイのほうが、ゲームは進みやすいからな」
ティット
「ふーん……。群れで動くことがここでの生存戦略ってワケかよ。だが、そんなの遅かれ早かれ内ゲバが起きるんじゃねぇの?」
ティット
「………………ま、それを包み隠さず教えてくれる辺り、『アンタ達は』オイラ達に害意はなさそうだがね。………………今のところはな」
アルビー
(救世主同士の殺し合いがこの世界のルールなら、この村の長閑さは、ますます……)
 
「そりゃ~~まあ、そうさ!害意があるなら隠れてワンキル!ってことも可能だけど。そうはしない。頭がいい風に言うと、初心者とはいえ3人相手に2人で戦いたくないんだ」
リラ
開いた口がふさがらなくて。何を言ったらいいのかわからない。
(たしかに、ティットの言うように。それを包みかくさず教えてくれるのは優しいけど……)
ティット
「そりゃどうも…………。有難くって涙が出るね。――このまま歓待され貯蓄庫行かな?オイラ達?」
ティット
「備蓄はあるに越したことはないもんなぁ」
 
「そういう展開になったら5人で立ち向かおうぜ!」
ティット
「………………考えておくよ」
 
「そうね……そうするしかなかったらね」
ティット
「で?アンタら、その状況下でイチャイチャしてんの?マジ?心臓に毛が生えてんの?」
 
「むっ。ひとのこいじにくちをだすとばしゃにひかれちゃうのよ」
 
「まあ、ここでなにかあってもなくても……いずれはさいばんするしかないわ」
「あなたたち、たたかうかくごはできてる?たたかったことある?」
アルビー
「……俺は元の世界では戦闘を生業にする者ではなかったのだけれど」
従軍経験はあるし……人を銃で撃ったことはあるが。
ティット
何故かリラに振り返って軽口を叩いた。
「馬車に轢かれちゃうんだって」
アルビー
「その『心の疵』の力って、そんなに強力なの?」
リラ
固まっていたリラだったが、ティットの軽口にふと口端を緩ませる。
ティット
「戦う………ねぇ。わりと専門外なんだよなぁ~」
リラ
「それは気を付けないとね」
ティット
「ははっ。轢かれそうになったらサッと避けろよ?」
リラ
「わたしは……、戦ったことはないけど……。戦ってる人を見たことはあるよ」
おぼつかないながらも、端的に質問への回答をした。
リラ
「こう見えて運動神経あるから大丈夫!」
ちょっと気持ちが軽くなる。
ティット
「………………」
運動神経の問題かよ、という顔。
しかし、敢えて言うまい。
 
「たたかったことがなくても、かくごがあるなら、『こころのきず』があなたをきっと、おもいどおりにしてくれるわ」
 
「そーそ。救世主にはみんな『心の疵』があるし、裁判の時はそれが具現化したり、バフデバフになったり、エターナルフォースブリザードになったりする!」
 
「ただまあ、経験あるのとないのとでは、事前準備とか意気込みとかで差がでるかもだけど」
 
「事前準備といえば~……そうだ、これがあった」
 
男の子?の方が、時計のようなものを手渡してくれますね。
ティット
「………………」
 
「これは餞別。そして牽制。」
「裁判の時に使うと、足がちょっとだけ早くなる、白兎の末裔が作った時計だよ」
ティット
「……ほんと、気の良い奴だよな、先輩は」
ちょっと困ったように眉を寄せて笑う。
ティット
オイラ達が敵に回る場合のことを想定していないのだろうか?
ティット
「………………ありがと」
アイテムを受け取った。
アルビー
「ありがたいけど、君たちは大丈夫なの?」
 
「たくさん入力(会話)に反応するプレイヤーを、大歓迎するのが元いた場所の仕事でもあったからさ」
「これくらいどうってことないよ」
リラ
「……先輩たち、やさしいね。さっきもそう思ったけど」
 
「ふふふ。きゅうせいしゅなのにへんでしょう?こういうおひとよしなところがすきなのよ」
ティット
「………………」
ティット
「………わかるよ」
ティット
「困ったもんだね」
アルビー
(………………)
微笑ましいなと思いながら、何やら考えているようだ。
GM
するとそこへ…………もう一人の人物が現れますね。
ストレナエ
「あらあら……」
ストレナエ
「皆様、ご歓談を楽しまれているようでなによりです」
ストレナエ
「途中から聞いておりましたが……堕落の国についての説明は、ほとんど受けたようですね」
ストレナエ
「堕落の国では厳しいことが多いでしょうが……」
「この場所が一時の安らぎの場所となるなら幸いです」
ティット
「………………」
ストレナエ
「…………ああ、私のことを不審に思うなら、そうでしょうね……」
ストレナエ
「とくに弁解することもございません」
ティット
「…………そうかい」
ストレナエ
「怪しまれて当然ですからね」
 
「うーん、うたがいたくないけど、このじょうきょうならしかたないとおもうわ」
 
「ここはとってもよいところだけれど、なにかうらがあるかもって……」
ストレナエ
「でしょうね」
ストレナエ
「この村に裏があるとすれば、『公爵家』、ですかね」
ティット
「公爵家?」
ストレナエ
「私はこの村を一人で管理していますが、それは依頼されたものです」
ストレナエ
「堕落の国では有名な非営利団体から、この村を治めてください、と依頼されているので、この場所で三月兎たちの面倒を見ているんですよ」
 
「ふ~~~~ん、つまり、この潤沢な食料とかは公爵家から送られてきてるもんなのか。三月兎管理しろって言われてたら、そりゃあ、こんな場所にしか村作れないもんなあ」
ティット
「……なあ、亜麻色の髪の女神様。この村の管理人って顔をしてるが、アンタも元は異邦人だろ?まだここにきて一年足らずのね」
ティット
「………この村を管理し守る、アンタの行動原理は何に基づいているのかな?」
ストレナエ
「それは……『救世主だから』、という回答では納得いただけなさそうですね?」
ティット
「どうかなぁ?その『救世主だから』っていう使命感?の出どころが分かれば納得するかもよ?」
ストレナエ
「ふふふ。引き出させるのがお上手なお方」
ストレナエ
「そうですねえ……私がこの場所にいることは、私の考え自体に意味があるものではありませんから」
ティット
「ははっ。アンタが謎めいた魅力的な御仁だからじゃないかな?人が強烈な使命感を背負おうとする場合、それに相応しい鮮烈な思い込みがあるんじゃないかとね。――ふうん?」
ティット
「なるほど、確かに当人の意思が全てじゃないかもしれないよな。で?ストレナエさん。あんた、元の世界では何をしてた人なの?」
ティット
「その名前は、元の世界に居た時からのもの?」
アルビー
ティットがストレナエにインタビューするのを止めずに見ている。
ストレナエ
「元の世界ではただの巫女でしたよ」
「名前も『ストレナエ』とは違う名前でしたね」
ティット
「へぇ~。じゃ、その頃の名前はなんだったの?」
ストレナエ
「忘れてしまいました!」
ストレナエ
「…………というのも、誠実ではないですね」
ティット
「あははは!」
ストレナエ
「覚えていますが、それは口に出せません」
「というのも、三月兎たちが困るでしょうから」
ストレナエ
「私は彼らに選ばれて、『ストレナエ』になりましたからね」
「別の名前を使用するのは彼らへの裏切りともなるでしょう」
ティット
「そっか」
ティット
「アンタがこの上なく真面目で誠実な人間だということは分かったさ。善人であるのだろうこともね」
ティット
「――善人が必ずしも善を行うかはともかくとして」
ティット
「――さて」
アルビーとリラを振り返る。
ティット
「何か、今、聞いておきたいことは?」
アルビー
「……美味しそうですね、ぶどうジュースやワイン」
一見全然関係なさそうなことを言った。
アルビー
「この村の特産物なんですか? ぶどう」
ストレナエ
「あら!外観だけでも気に入っていただけてよかった」
ストレナエ
「そうですねえ。特産というわけではないのですが、おいしいものをご用意できるんですよ」
ストレナエ
「これは公爵家のおかげですね」
アルビー
「その公爵家というところから、特別な肥料でも?」
ストレナエ
「それは秘密です。公爵家に会った時に聞いてみてください。きっと教えてくれますから」
ふふふ、と笑う。
アルビー
「そう言われると気になるな……。ありがとうございます」
自分の質問は済んだとばかりにリラを向く。
リラ
「…………」
「あの、あなたがここを治めていることに、公爵家やら何やらが関わっていることはわかったんです」
リラ
「真面目なこともわかる。……だから、あのうさぎの子たちにも、あなたは愛だったり、優しさだったりをちゃんと向けているって、思っていいんですか?」
ストレナエ
「ええ。もちろん」
ストレナエ
「救世主と末裔という絶対の差はあっても、この関係に愛はありますよ」
ストレナエ
「あのこたちが私をどう思っていても、私はあのこたちの女王様になっているんですから」
ストレナエ
「この麦藁の冠が仮初のものだとしても、私はあのこたちと共にあります」
リラ
「…………そうですか。いきなり失礼なことを聞いてしまってごめんなさい」
リラ
「あの子たち、初めて会った私にも優しいから」
「あの子たちが悲しむのはいやだなって思ったんです」
リラ
「――ならよかった!」
安心したように笑った。
ストレナエ
「ふふふ、あなたも優しそうで良かった」
ストレナエ
「三月兎たちも、もっと懐いてくれるでしょうね」
ティット
「アンタはオイラ達に何を望むんだい?」
ストレナエ
「何も望みませんよ」
ティット
「――へぇ?」
ストレナエ
「ただ、この場所で一杯飲んで、休んで。堕落の国にいるという苦痛を一瞬でも忘れていただければ」
ティット
「………………」
ストレナエ
「そういう場所がないと、この国はただただ、嫌なことばかりでしょう?」
ストレナエ
「人生もワインも、味は悪くない方が、きっといい」
ティット
「…………どうだろうね?まだ、訪れて間もないもんで、わからないな」
ティット
「…………でも、なら、オイラ達の行動に制限をかける気はないんだな?」
ティット
「なら、オイラ達は好きにこの村を見て回るけど、いい?」
ストレナエ
「ええ、どうぞ。引き続き自由に回っていただいて大丈夫です」
「何かありましたら声をかけてください」
ティット
「…………あ、そう」
ティット
「じゃあ、どうしようか?」
と、アルビーとリラに尋ねる。
アルビー
「そうだね。ストレナエさんの心遣いに感謝して、色々と村を見て回ろうか」
リラ
「うん。それがいいんじゃないかな」
リラ
「ストレナエさん、色々とありがとうございます!」
ティット
「じゃあ、いくかね」
GM
ストレナエ(と、カップル)は去り、また自由行動タイムとなります。
GM
GM
*お茶会ラウンド1 リラの手番
リラ
*シーン表振ります
リラ
1d6  (1D6) > 3
GM
3:村中央の原っぱ。三月兎の末裔たちがかけっこをして遊んでいる。
リラ
*クエストNo.2を行います
GM
OK! その後の行為判定含めて、判定の宣言をどうぞ。
リラ
*アルビーの疵『責務』を愛で舐めます
三月兎たち
*配下が横槍をします。
三月兎たち
2d6+2+2=>7 判定(脅威度+PK強化) (2D6+2+2>=7) > 3[2,1]+2+2 > 7 > 成功
三月兎たち
あぶないあぶない
三月兎たち
1d6 (1D6) > 2
三月兎たち
*ヤリイカは使用しません。
リラ
うーんティーセット使います!
[ リラ ] ティーセット : 1 → 0
GM
ではティーセットと横槍でプラマイゼロで愛で判定ですね。
リラ
2d6+3=>7 判定(+愛) (2D6+3>=7) > 6[1,5]+3 > 9 > 成功
GM
成功!
[ アルビー ] 責務 : 0 → 1
[ 三月兎たち ] HP : 18 → 17
リラ
カップル・ストレナエとの話を終えた一行はひとまず原っぱへと向かった。
 
三月兎たちが遊んでいますね。
リラ
「あ、いろんな子が遊んでるみたい……」
微笑ましそうに眺めていたが、ちょっとリラも交りたそうにしている。
アルビー
「……行ってきたら?」
リラの交ざりたそうな様子を見て背中を押した。
ティット
「交ぜて貰ってくれば~?気が合うんだろ?精神年齢同じくらいで」
リラ
「う、うるさいな……」
 
「わ~~~っ!アリスだ!あそぼう!あそぼう!」
三月兎の方から駆け寄ってきました。
リラ
「わ~~~~!」
かわいい!
 
「冠つくろう!冠!」
ぴょんぴょん跳ねています。
リラ
「え~素敵だね! 私、結構得意だよ!」
と三月兎に向かって言いながら、二人の方を振り返る。
リラ
「あの、せっかくなので、嫌じゃなかったら二人も一緒に、と思うんだけど……どうですか?」
ティット
「…………どうする?」
と、アルビーに。
 
「どのアリスが、冠いちばんうまくつくれるかな!」
三月兎たちはノリノリです。
アルビー
「あはは、じゃあせっかくだし交ぜてもらおうかな?」
妹の友達とのおままごとに付き合ったときのこととかを思い出している。
ティット
「……仕方ねぇな。植物を編んだり紬いだりするのは苦手じゃない」
アルビー
さっそく交ざって冠の材料を手に取っている。
 
「やったー」
うれしそうです。
有明
リラ
「やった!」
リラも嬉しそう。マジで精神年齢一緒かもしれないね。
ティット
中々器用に冠を編み始める。
リラ
言葉の通り、それなりにうまく冠を作っている。元からやっている手つき。
アルビー
アルビーも割と器用。そつがない。
 
みんなで冠を作っている風景、微笑ましいですね。
 
しばらくして…………それぞれの冠が出来上がりました。
 
「わーっ、アリス、つくるの上手!」
 
「すごーい!」
拍手もしてくれます。
リラ
「でしょ? ありがとう!」
自信満々に反応しました。その辺怖気つかないので。
ティット
「この程度のことはね」
アルビー
「なんだか懐かしいなあ」
リラ
「でも皆も上手だね。普段からやってるの? やってるんですか?」
三月兎にも二人にも聞いているのだろう。
 
「うん!三月兎はー、麦藁の冠つくるの!つくるのすき!」
ティット
「ふーん……なんのために?」
リラ
「そうなんだ! だからそんなに上手なんだね。ちょっと上手すぎて燃えちゃったもん」
 
「つくって、あそぶのー」
「あたまにのせて、びゅーんって、かけっこ!」
アルビー
リラに。
「いや……普段からはやってないけど。昔、妹のおままごとに付き合って、こういうことしたなと思って」
アルビー
そして目の前の三月兎の末裔に、
「じゃあこれ、君にかけてもいい?」
冠を示した。
ティット
「うーわ」
 
「みんなもってるからー、アリスが作った分は、アリスがもってるといいよ!」
リラ
「すごいよね、たらしって……」
若干恒例気味でティットとひそひそする。
ティット
「そうねそうね」
ひそひそ。
 
ひそひそ話に興味津々に耳を傾けてる三月兎もいますね。
アルビー
「こら、そこ。悪口聞こえてるんだからね?」
ティット
「ん?おまえも混ざる?」
と、興味津々の三月兎へ振る。
リラ
「いやいや、悪口じゃないですよ。なんていうか、事実の確認?」
 
「?」
ひそひそ話を聞いてたけど内容はわからなかったみたいですね。
ティット
「……悪口じゃないけどさー、アンタはもちっと己の言動を顧みるといいよ」
アルビー
「いや、これでも省みてるはずなんだけど……」
ティット
「…………うーわ」
アルビー
「じゃあティットにかけちゃおう」
ひょいっとピンク色の頭に麦藁の冠を載せた。
ティット
「………………」
アルビー
そのまま頭を雑にぽんぽんする。
ティット
「………………」
ティット
「……なんなの?アンタ………………」
 
「ひとにあげてる!やさしーアリス?」
リラ
「じゃあ私はアルビーさんにかけちゃおうかな」
えいっと頭にのせる。
リラ
「ふふ。似合いますよ!」
ティット
「…………まったく」
アルビー
「わ、ありがとう」
ちょっとびっくりしたのち、嬉しそうです。
ティット
自分が編んだ麦藁の冠は、リラの頭にのせる。
「やることが幼児のそれだな」
アルビー
ティットの意表突かれたような顔を見て、ちょっと悪戯っぽく笑った。
リラ
「いいでしょ、おままごとみたいでも」
リラ
「アルビーさん、優しくて。きっと真面目だから、少しは息抜きしないと」
 
「なかよし!」
三月兎たちもうれしそうです。
アルビー
「え、俺?」
アルビー
「いや、そんなことないよ」
それよく言われるけど、そんなことないと思う。
アルビー
「でも、息抜きがありがたいのは本当かな」
アルビー
「気遣ってくれてありがとうね、リラちゃん」
ティット
「………うわー」
アルビー
自然にリラの頭を撫でた。
リラ
「わっ。無自覚なんですか……? 妹さんもそれが心配だったんじゃないかな……?」
と言っていたら、頭を撫でられた。
リラ
「わ、わっ」
ティット
静観している。
リラ
「そういう態度がいけないんじゃないですか……?」
そう言っていながら、撫でられたこと自体は嫌がっていない。
ティット
手持無沙汰になったので二つ目の冠を編み編み。
我関せず。
リラ
「あの! これはアルビーさんだけじゃなく、ティットもだけど! 私、二人が慣れない私の分も気を張ってくれてるんだろうなっていうのは気づいてる……つもりです」
リラ
「だから、『ありがとう』はおかしいっていうか……」
リラ
「アルビーさんはもうちょっと欲張りになってもいいと思いますし……」
リラ
「まあ、何を言いたいかというと、私の方こそありがとうってことですね……」
伝わっているだろうか?
アルビー
「………………」
アルビー
「こういうのは、適材適所だから」
ティット
「………だそうだぜ?」
アルビー
「それに、大人が子供を守るのは当たり前だ」
ティット
「………………」
ティット
そこは何かもの言いたげであった。
アルビー
「だから、リラちゃんも気にしすぎないで。君の明るいところとか気丈なところに、俺たちも助けられてるんだから」
完全に本心である。
ティット
「………わー」
リラ
そ、そうなのかな? 思わずティットの方を見る。
ティット
「さてね?あの人が勝手に言ってるだけなんで」
リラ
「ティットのそういうところが落ち着くなあ……」
完全に、甘いものを食べた後にしょっぱいものを食べたくなる心理である。
ティット
「………………」
ティット
「…………こっちはこっちで厚かましいし、あちらもあちらで厚かましいよな」
 
「?」
 
「なかよしアリス!」
 
「なかよしアリスー」
ティット
「いいのいいの。あー、落ち着くな。がきんちょにはこれをやろう」
二つ目の冠を一番近くにいた末裔の頭にのせた。
アルビー
「そう。仲良しなんだ、俺たち」
リラ
その光景を微笑ましく眺めていた。
 
「もらった!」
 
「ありがとー!」
嬉しそうですね。
 
「なかよしでやさしーアリス!」
ティット
「中々似合ってるんでないの?」
ティット
「ははっ、そりゃおまえの目が節穴なんだよ」
リラ
「ね~、こんなこと言うけど優しいとこあるもんね!」
ティットの肩を肘でつつく。
アルビー
そんな光景を見て。
……ここはきっと過酷な世界だけれど。
愛すべき人がいて、守るべき人がいるのは変わらない。
アルビー
――だから、変わらず、自分の為すべきことをしよう。
そう思った。
ティット
「へいへい。そりゃ慧眼だ。オイラは優しいアリスだよ」
ティット
「……つーか、鏡みたいなもんさ」
ティット
「だから、優しいと受け取るならそうなんだろうさ」
リラ
「はいはい」
リラ
――アルビーさんは、大人が子供を守るのは当たり前と言ったけれど。
それが当たり前でないことは知っている。
リラ
でも、そんなことを言う彼は、やっぱり優しいのだ。
リラ
(アルビーさんがああ言ってくれた分、いろいろ頑張ろう……)
GM
ストレナエ
PKが手番に割り込みます。
GM
*お茶会ラウンド1 PKの手番
GM
では最初にやることを宣言しましょうか。
ストレナエ
*アルビーの心の疵『責務』を???で抉ります。
ティット
*横槍いれます。
GM
HPを減らして、choiceどうぞ。
[ ティット ] HP : 18 → 17
ティット
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
GM
では猟奇で判定を。ティーセットを使用するならこのタイミングでどうぞ。
ティット
*ティーセット使いません(ないので)
ティット
2d6+3=>7  判定(+猟奇) (2D6+3>=7) > 7[4,3]+3 > 10 > 成功
GM
1d6で効果値どうぞ
[ ティット ] ヤリイカ : 1 → 0
ティット
1d6 (1D6) > 3
GM
ヤリイカ含めて-5ですね。
ストレナエ
*ティーセットは使いません。
ストレナエ
2d6+3-5=>7 判定 (2D6+3-5>=7) > 5[1,4]+3-5 > 3 > 失敗
GM
失敗。
GM
このラウンドは抉れる描写が入らなければ、次の手番に移行します。
GM
GM
*お茶会ラウンド1 アルビーの手番
[ リラ ] フライパン : 0 → 1
アルビー
*ティットの心の疵「レーゾン・デートル」を才覚で舐めます。
三月兎たち
*配下が横槍を入れます。
[ 三月兎たち ] HP : 17 → 16
三月兎たち
2d6+2+2=>7 判定(脅威度+PK強化) (2D6+2+2>=7) > 9[5,4]+2+2 > 13 > 成功
三月兎たち
1d6 効果量 (1D6) > 2
三月兎たち
*ヤリイカは使用しません。
アルビー
*ティーセット使用 プラマイゼロで振ります
GM
どうぞっ
アルビー
2d6+3=>7 判定(+才覚 ) (2D6+3>=7) > 5[3,2]+3 > 8 > 成功
GM
成功。ティーセット減らしてねっ
[ アルビー ] ティーセット : 2 → 1
[ ティット ] レーゾン・デートル : 0 → 1
アルビー
シーン表振ります
アルビー
1d6 (1D6) > 3
GM
3:村中央の原っぱ。三月兎の末裔たちがかけっこをして遊んでいる。
リラ
「よし! じゃあ冠は作ったし、違うことであそぼっか!」
三月兎たち
「「わーっ!」」
みんな遊んでくれて嬉しそうです。
リラ
「よ~し、かくれんぼでもしようか! リラさんは見つけるの上手いぞ~~~っ!」
三月兎たち
「かくれんぼだ!」「わーっ!」「みんなかくれろー!」
三月兎たちがぴょんぴょん跳ねていきます。
リラ
「……ってことで、安全だと思うし、ちょっと遊んできます!」
きゃっきゃしながら二人から離れて数を数え始めた。
アルビー
「行ってらっしゃい」
にこやかに見送る。
ティット
「おーおー、元気なこった……」
きゃっきゃしながら元気に遊んでいるリラと仔兎らを眺めている。
アルビー
「君は行かなくていいの?」
からかうように訊く。
ティット
「ご冗談を。あそこに交じって遊ぶ元気はないね」
アルビー
「君は『遊び』が好きな人に見えるけど」
アルビー
「ああいうのは、確かにちょっと違うみたいだね」
ティット
「ご明察だね。確かにオイラは『遊び』が好きだ。ただ、まあ……、ああいう罪のない遊びはちょっとなぁ……食指が伸びないね。ついでにいえば、体を動かす遊びもちょっと?」
アルビー
「なるほど。であれば君の心を震わすのは、大きな何かが賭かった、知的な遊戯。そんなところ?」
ティット
「そうだと言ったらアンタがお付き合いくださるの?」
アルビー
「それはゲーム次第だなあ……。でも、そういうのは俺も嫌いじゃないよ」
そういうのが好きな人間に、よく付き合わされていたから。
アルビー
「――いや……」
アルビー
「そういうのが好きな人のことが、好きなんだろうな」
アルビー
「格好良くて」
ティット
「…………」
ティット
「……………ハァ」
ティット
「そうかい。そりゃ恐悦至極」
ティット
「アンタが本気でゲームに興じようというんなら、考えてやるがね」
ティット
「…………その覚悟があって言ってるワケ?」
アルビー
「……いや」
アルビー
「それは逆かな」
アルビー
「俺は意気地なしだから、スリルにベットできないんだ」
アルビー
「だから敬意があるんだろうね、それができる人に」
ティット
「………よくもまぁ、滑らかに口が回ること。これが口先ばかりのおべんちゃらなら、いっそ心地が良いような気さえしてくるさね」
ティット
「オイラは応じるものだ。応えるものだ。オイラからゲームを吹っ掛け仕掛けているように見えたとて、実際にオイラの方から仕掛けることはないのさ」
ティット
「だから、もしもアンタとゲームに興じることがあるのなら、それはアンタが望んだ時さ」
ティット
「――きっとね」
アルビー
「なるほど?」
こんなに自由に飛び回っているように見えるのに……自分には窺い知れない何かあるのだろう。
アルビー
「でも、君はそれを楽しんでるんだ?」
ティット
「まあ――絶対とは言い切れない。オイラの側から仕掛けることが出来ないワケでも無い。ただ、基本的にきっかけは向こう側にあるんだ。トリガーを引いたものの元へオイラは現れるのさ」
ティット
「まぁね。無聊を慰めるため、生には遊びが必要なのさ」
アルビー
「そっか」
アルビー
「じゃあ、ますます、俺は君との『ゲーム』を望まないでおこうかな」
ティット
「……そうかよ」
アルビー
「俺とそれがしたくなったら、君が自分の意志で、やりたいときに誘ってよ」
アルビー
「だって、そっちの方がレアなんでしょ?」
ティット
「――…………」
アルビー
「きっとレアな方が面白いじゃない、こういうのって」
ティット
「アンタは何?歯が浮くようなセリフを恒常的に口に出さないと死ぬ病気のヒト?」
ティット
「悪いけど、オイラは野心的でオイラになにか願いがある鼻持ちならない相手じゃないと燃えないんだ」
ティット
「ま、アンタも別の意味で充分鼻持ちならないけどなっ」
アルビー
「あーあ、振られちゃった。残念」
アルビー
「でも、野心的で君になにか願いがある鼻持ちならない相手をゲームでこてんぱんにするティットかぁ……」
アルビー
「それはだいぶ見たいな、スカッとしそう」
ティット
「…………うーわ」
ティット
「……いっぺん刺されてくれば?」
アルビー
「本気だってば」
アルビー
「相手の穴を突いて華麗に出し抜いちゃってよ、そのときは」
ティット
「へいへい。そうでしょうとも」
ティット
「わかったわかった。穴という穴に針を千本も万本も詰め込んでやろう」
GM
…………。
GM
そうして、堕落の国に来て。
村へ入り、先輩の話を聞き。
三月兎と遊んだりして、日が暮れて。
GM
あなたたちは無事に一日を過ごすのでした。
GM
GM
一日が終わり、あなたたちはストレナエの館で一晩を過ごすことになります。
GM
夜になっても、とくに不穏なことはなく。
GM
夕食には豪華な食事(『先輩』たちが言うにはめったに食べられないらしい)を振る舞われました。
GM
ごろごろ肉入りシチュー、フィッシュアンドチップス、シェパーズパイ、カスタードプディング、ワインかぶどうジュース。
GM
あなたたちがそれに口をつけるかはさておき、食事終えて、部屋に戻ったあとも、とくに何も起こりません。
GM
あっという間に夜も過ぎ。朝食も似たように豪華なものを振る舞われました。
GM
スコッチエッグ、厚切りベーコン、ドレッシングがかかったサラダ、ふかふかのマフィン、ワインかぶどうジュース。
GM
朝食が終わった際に、ストレナエがあなたたちへこう言います。
ストレナエ
「今日は、皆様に地下室をご案内しますね」
ストレナエ
「見ていただきたいものがありますので、ぜひ、ご同行いただければ」
アルビー
(………………)
ティット
「さて、どうする?おまえさん方」
リラ
「うーん……」
ちょっと悩んでるようだ。
アルビー
「……断る道理はないね」
リラ
「ティットはどう思ってるの?」
ティット
「うーん、そうさなぁ……?行くも怖けりゃ行かぬも怖い。はたまた、行きはよいよい帰りは怖いってか?」
ティット
「まあ、どっちを選んでも博打みたいなもんさ」
ティット
「ただ、どうせ後悔することになるんなら得られる情報は得た方が得かもな」
リラ
「なるほど~」
ほんとにわかってんのか? 
リラ
「じゃあじっとしてるのもなんだし、私も行ってみるのがいいと思います!」
ティット
「うんうん。無謀で勇敢。ガキはそうでなくっちゃね!」
ティット
「で、おまえの意見は?」
と、アルビーに水を向ける。
アルビー
「君に概ね同意だね」
ティット
「よし、じゃあ、毒を喰らわば皿まで喰おうか」
アルビー
「どうせどの道危険があるなら、彼女の機嫌を損ねたくないしね」
小声。
ティット
ストレナエへ向かって。
「――と、いう訳さ」
ティット
「ご案内いただこうか。女神様」
ストレナエ
ストレナエはにっこり笑い、あなたたちを地下室へと導きます。
GM
GM
案内された地下室は、舞台のような場所。
白い布で包まれた物体
その中央には、三月兎の末裔たちと、白い布で包まれた物体。
白い布で包まれた物体
物体はもぞもぞと動いています。
GM
ストレナエがご覧ください、と舞台中央を指すと――
三月兎たち
三月兎の末裔たちが白い布で包まれた物体に群がり。
三月兎たち
何かを啜る音が聞こえます。
GM
しばらくすると、白い布は赤く染まって、物体は動かなくなりました。
GM
群がっていた三月兎の末裔たちにも変化が現れます。
GM
激しく痙攣し、皮膚が裂け、やがて亡者となっていく三月兎の末裔たち。
ストレナエ
それに向かって、ストレナエが駆け出し、その首と手首をかっさばいていきます。
GM
三月兎の末裔の成れの果て――人喰い三月と呼ばれる亡者の、両手に埋め込まれた目からワインの涙が流れます。
GM
ストレナエはワインの涙を飲み干して、5人の救世主に告げます。
ストレナエ
「これから皆様には、ワインの肥料になっていただきます」
GM
一連の流れから、あなたたちは理解することでしょう。
GM
あの白い布で包まれていたのは、あなたたちのような、村に招かれた救世主です。
ティット
「これはまた悪趣味なショーだこと。演出家はどなたかな?」
アルビー
「………………」
ティット
「アンタ?それとも、公爵家とやらかい?」
リラ
目の前の光景に、頭の中が真っ白になって愕然とする。
リラ
だって、あの子たちはさっきまであんなふうに飛び跳ねていて……
アルビー
状況を脳が把握するや否や、迷わず手が腰に伸びる――前に、勝手に周囲の空間が動いていた。
アルビー
アルビーの立っている周囲に、無数の銃が浮かび上がる。
その銃口は、すべてストレナエに狙いを定めていた。
 
「怪しい感じはしてたが、そういうことかよ!」
「村に来てた救世主を、三月兎の末裔たちに惨殺させていたのか!」
リラ
でも、これが現実なんだ。周りの状況に追いつけず、リラは立ちすくんだままだ。
 
「きゅうせいしゅごろしを、まつえいにさせて、まつえいもころすなんて!」
「こうやにいるもうじゃじゃない、こどものさんがつうさぎを、むりやりもうじゃにして、しげんにしてたの!?」
ティット
「思ってたより即物的なやり口だわな。…………これ、採算取れてんの?」
アルビー
力の発動に、驚きはなかった。
あたりまえのように、それは馴染む。
どう扱えばいいのか、最初から知っていたように。
アルビー
銃口を向けたまま、
「いつから、こんなことをしているんですか」
ストレナエに、そう問うた。
ストレナエ
「あらあら、この度も気に入っていただけなかったご様子で」
「黒幕も需要もご心配なく。すべて、私が麦藁の女王になってから、私が望んでやっていることですよ」
リラ
「…………」
リラ
「ストレナエさん、愛はあるって言ってたのに」
ぽつりと呟く。
リラ
「これって、愛なんですか?」
ストレナエ
「ええ。あなたの思う、『愛』とは形が違うようですけれど」
リラ
「あの子たちは、泣いてるのに?」
リラ
「嘘つき……」
ストレナエ
麦藁の女王は静かに微笑んでいる。
ティット
「気に入っていただけなかったご様子、ね。果たしてアンタがオイラ達に気に入ってほしいと思ってるのか、甚だ疑問だね。事の是非はともかく、分かって欲しがってる奴のやり口じゃないからな。何の説明もなく現場を見せて、さあ、どうだってな。――随分とかわいいじゃねぇの」
ティット
「アンタ、オイラ達にどんな反応をして貰いたいんだい?どんな反応が返ってくればアンタは満足なの?――それとも、そんなのどうでもいいって?」
ストレナエ
「あら?そうですか?私はこれが一番わかりやすくて、気に入っていただけると思って、毎回そうしているだけなのですが……ふふふ」
ストレナエ
「でも、そうですね。これは、あなたたちを測るものではなく、私の酔いによる一芸ですので」
「どんな反応があろうと、することは決まっていますよ」
アルビー
「……そう言われて、俺たちが唯々諾々と肥料になると思う?」
ティット
「ははっ、そうかい。――さて。麦藁の女王様も出会った時から一貫し徹底した御仁のようだが――こっちにはこっちで真面目で優しくて怖いお兄さんがいるワケだ。………………あーあ、めんどくせぇ」
ティット
「大丈夫か?リラ。我らの班長はぷっつんキテるみたいだし?おまえは頑張って少しは落ち着いておけよ?」
リラ
「……うん、大丈夫。落ち着いてる、と思う」
リラ
「そういうティットは……」
ちらりとティットを見遣る。平然とした表情、いつものような飄々とした口調。
リラ
「大丈夫そうだね」
その言葉には安堵が込められている。しかし、本当に安堵だけだっただろうか? この状況で落ち着いていられるティットへの疑心はなかっただろうか? すべてはリラの無意識の範疇であり、わからない。
ティット
「よし、上出来上出来。リラちゃんはいつも通り、がきんちょらしく素直に自分の感情に従っていればいいのさ。アンタは重石さ、あのめんどくせぇお兄さんのね。アンタがアンタらしくいれば、あいつの退路は残されるだろうさ」
ティット
「ごく僅かであろうと、可能性は残しておいた方が得さね」
ティット
「さて」
ティット
「先輩方?どうだい?そういう展開になったワケだが?5人で立ち向かうってことで異存はないかい?」
 
「おう…………」
「うまいもん食わせてくれた恩を、仇で返したくなかったがしょうがない!ボス戦だ!」
 
「ええ!」
ティット
「それじゃあ、ゲームスタートだ。相棒ども!」
ストレナエ
「ふふふ、あははっ」
ストレナエ
「いいですねえ。どちらが犠牲になるか試してみましょうか」
ストレナエ
「……しかしまあ――堕落の国にいたお二人の方は、今まで気づかなかったんですか?」
ストレナエ
「感のいいそこの方は見当がついていたようですけれど……」
アルビーの方を向きながら、笑う。
ストレナエ
「この村にぶどう畑なんてありませんよ」
ストレナエ
「あるのはいつか犠牲になるものたちだけ」
ストレナエ
「どうせ犠牲になるものを、どう使おうが救世主(私)の勝手でしょう」
ストレナエ
「あなたがたも、ここで尊い犠牲となったほうが、人生の後味が悪くならずに済みますよ」
三月兎たち
気がつけば、濁った瞳の三月兎の末裔たちが、あなたたちを取り囲んでいました。
三月兎たち
当然のようにあなたたちへと襲いかかってきます。
一時撤退したほうがよさそうですが――
三月兎たち
襲いかかってくる数が、今までどこにいたのだと思うくらい、多い。
GM
もみくちゃにされながらも、あなたたちは必死に館の外へ出ようとするのでした…………。
GM
残る人決めるぞ~
choice ティット リラ アルビー (choice ティット リラ アルビー) > ティット
GM
お茶会の次のラウンドで、ティットは別行動となります。
※小道具の受け渡し、行動については問題なく行えます
GM
GM
リラとアルビーは三月兎の末裔たちに捕らえられることなく、館の外に出られました。
GM
…………しかし。
GM
外へ出られたのは二人だけ。
GM
カップルと、ティットとは、はぐれてしまったようです。
GM
今、館の中に助けに行こうとすれば、きっと三月兎の末裔たちに襲われてしまいます。
GM
かといって、外が安全ということもなく。
濁った目をした三月兎たちがちらほらいるようです。
ワインや血の匂いもしてきます。
GM
現状では、三月兎たちから隠れつつ、ストレナエの隙を伺い、仲間を助け、外へ出るしかなさそうです。
リラ
息切れしながら辺りを見回す。足りない、何かが。
リラ
――ティット!
リラ
それに先輩たち!
リラ
「どうしよう、はぐれちゃったんだ……」
アルビー
怖い顔で周囲をうかがったりしている。
リラ
「わ、私、さっき少し意地悪な気持ちになって……」
張りつめていた緊張の糸が緩んで、へなへなと崩れ落ちそうになる。
アルビー
……と、ここでリラがあたふたしていることに気づく。
アルビー
己を恥じるように、はっと表情を正した。
リラ
「ティットも、先輩たちも、あの状況ですぐ戦えそうだったことが怖くて……」
リラ
「わけわかんない、って思っちゃったの」
リラ
「だから罰が当たって、ティットと先輩たちいなくなっちゃった」
アルビー
「リラちゃん」
アルビー
「大丈夫。落ち着いて」
お前が言うか!??!??
リラ
「あ、アルビーさん……?」
目の端には涙が浮かんでいる。どうしたらいいのかわからない迷子のような表情。
アルビー
「罰と言うなら、俺のせいだ」
リラ
「え……?」
アルビー
「判断ミスで、君たちを危険に晒した」
あたふたしているリラをなだめようとしたら、ちょっと落ち着いてきた。
アルビー
意図して柔らかな表情を作る。
「それに、子供がいきなりあんな状況に置かれて、咄嗟に身体が動かないなんて当たり前だよ」
アルビー
「さっきは不覚で遅れを取ったけど……」
アルビー
「彼女の隙を見て、三人を救い出す」
アルビー
「……きっと、物騒なことにもなる」
アルビー
「リラちゃんは、どこか亡者のいなさそうなところで隠れていて。一人で残すのも心配だけど、あの中よりはマシだと思うから」
リラ
アルビーの優しい声音を聞いているうちに、段々と落ち着いてきたものの、なおさら涙が滲んでしまう。
GM
GM
PKのキャラクターシートと、潜伏シーン表、後半クエストを公開します。
GM
GM
*お茶会ラウンド2 アルビーの手番
リラ
しばらく鼻を啜っていたリラだったが、アルビーの言葉に瞬きをして、口を開く。
リラ
「アルビーさんのせいでは、ないですよ」
リラ
そうして、彼の服の裾を、控えめに引く。
リラ
「あ、アルビーさん、一人でやるつもりなんですか?」
リラ
「それで、アルビーさんにまで何かあったら、私……」
どうしたらいいのかわかんないよ
リラ
一人にしないでほしい。
リラ
「置いていかないで……」
ティットは今一人ぼっちかもしれないのに! けれど、リラの要求は止まることなく。ぎゅっとアルビーの裾を握りこんだ。
アルビー
「…………」
アルビー
「……君に」
アルビー
「惨いものを見てほしくない」
リラ
「もうこれが惨いものなんじゃないですか……!?」
声に力が入る。
アルビー
……彼女は知らないだろう。
アルビー
怯えていても、きっと本当にはわかっていない。
アルビー
人殺しのおぞましい感覚を。
アルビー
絶え間ない自責を。
アルビー
……でも、この世界のシステムがそれを強要するなら?
アルビー
いずれ、向き合わざるを得なくなる。
アルビー
生きるために。
アルビー
――アルビーは、結局、
アルビー
この少女に、死んでほしくなかった。
アルビー
目を開いて、リラの目をまっすぐ見た。
アルビー
「覚悟はできてる?」
リラ
「え……?」
わずかに目を開く。
アルビー
「あのストレナエは、三月兎たちを利用して、傷つけて、殺した、『悪い』救世主だ」
本当に? そう決めつけていいのか? 彼女自身も、この堕落の国で、やむにやまれず加害の構造の中にいるだけでは?
アルビー
「だから、戦って、倒さなくちゃいけない」
アルビー
目を伏せる。
「あの、可哀想な三月兎たちみたいな犠牲を、これ以上出さないためにも……」
リラ
「『悪い』救世主……」
彼の言葉を反芻する。幼子が、教えを己の頭に叩き込むように。何も知らない透き通った声音で。
アルビー
「でも、いくら彼女が悪人とはいえ、君に戦いを背負わせるのは酷だ」
極度に単純化された善悪観という痛み止めをたっぷりと塗り込みながら、アルビーは語る。
アルビー
「その覚悟は、できてる?」
リラ
再び開かれた、彼の、雲一つない青空のような瞳をみつめる。
リラ
きれいな空色。そんな色は、この空を見上げても、自分の世界の空を見上げても、きっとどこにもないだろう。
リラ
アルビーは、出会ったときから、きれいで、やさしくて、かっこいい人だった。――今も。
リラ
「私のいた世界で、皆が言うんです。『悪』は死んで当然なんだって」
「妹は、信じてなかったみたいだけど……」
リラ
「でも、そうですよね」
リラ
「アルビーさん、私も『アリス(救世主)』なんですよ」
リラ
「だから、きっと大丈夫……」
リラ
「私も、戦えます」
リラ
「アルビーさんが全部背負ってくれなくても、大丈夫……」
アルビーのとっておきの甘い飴には気付くことなく、リラは覚悟を込めて微笑んだ。
アルビー
「……そう」
アルビー
頭を優しく撫でる。
妹にしたように。
アルビー
「強い子だね、リラちゃんは」
アルビー
「それに、優しい」
アルビー
「……じゃあ、一緒に行こうか」
リラ
撫でるその手があたたかくて、リラはくすぐったそうに目を細める。
リラ
「そんなことないですよ!」
今度こそ本当にいつもの調子に戻ってきた。
リラ
――たっぷりと塗られた痛み止めは甘くて、震えすら止まってしまう。
リラ
行こうか、その言葉に。
「はい」
と答えて。
リラ
けれど、やはりどこか怖くて。
アルビーの服の裾を、先ほどよりも強くぎゅっと握っていた。
アルビー
*ストレナエの心の疵「酩酊」を才覚で抉ります
アルビー
*同時にクエスト5に挑戦します
アルビー
*ティーセット使用
三月兎たち
*配下が横槍をします。
三月兎たち
2d6+2+2=>7 判定(脅威度+PK強化) (2D6+2+2>=7) > 8[6,2]+2+2 > 12 > 成功
[ 三月兎たち ] HP : 16 → 15
三月兎たち
1d6 (1D6) > 2
三月兎たち
*ヤリイカを使用!
[ ストレナエ ] ヤリイカ : 2 → 1
三月兎たち
-4で振ってください。
アルビー
2d6+3-4=>7 判定(+才覚 ) (2D6+3-4>=7) > 9[3,6]+3-4 > 8 > 成功
[ アルビー ] ティーセット : 1 → 0
GM
*成功。ラウンド終了時、取得アイテムを宣言してください。
[ ストレナエ ] 酩酊 : 0 → -1
GM
と、そこに。
二人に迫る影。
 
「あ!」
「あたらしいアリスたち、またぼくたちのアリスとかくれんぼ?」
GM
最初にこの村に連れてきてくれた、あの三月兎の末裔です。
 
「ぼくたちのアリスなら、あっちにいるよ!」
指差す先に、亜麻色の髪が揺れているのが見えます。
リラ
「――あ」
初めて会った、三月兎のあの子。道案内してくれた掌があたたかかった。
リラ
(このまま進んじゃえば……)
リラ
『悪い』あの人が、立っている。
リラ
「アルビーさん、私、ちょっとあっちに行ってきますね」
リラ
アルビーからそっと手を放す。
アルビー
「……うん」
リラの意図を把握したように頷く。
アルビー
やっぱり、優しい子だな、と思う。
アルビー
先ほど渡した言葉は欺瞞だらけだったけど、それは本心だった。
リラ
リラはにこやかに兎に微笑む。
「そう! かくれんぼしてるの! 見つかったら捕まっちゃうよ~! 一緒にいこ!」
いつもの明るい調子で、遊びに誘う。
 
「わ~~~!」
一緒についていきます。
リラ
今度はここに訪れたときと――先ほどと違って、リラがその小さな手を引いていく。
リラ
二人の姿は見えなくなっていく……
アルビー
リラの後ろ姿を笑顔で見送る。
アルビー
リラから目を離すのは心配だったが、この先に一人で進めることには、むしろ安堵のような感情があった。
アルビー
一人、歩みを進める。
GM
近づくと、血の匂いが強まり、『それ』が見える。
 
「ゔゔっ……………………ああっ…………」
 
カップルの救世主の片割れ――女の方が、胸を抉られ、四肢をもがれて転がっている。
 
「あ゛っ…………あなた…………」
 
涙と血でぐちゃぐちゃになった目であなたを見て。
 
「わたし、はっ、…………もう、だめっ゛…………」
 
「もう」「かれと」「てをつなげない」
 
「もう」「いっしょに」「あるけない」
アルビー
「………………」
 
「わたし」「もう」「しんでしまうの」
 
「…………」
 
「ころして」
 
「いたいの」「もう、いやなの」「くるしいの…………」
 
「わたしを」「ころして」「あなたたちは…………」
 
「もとのせかいに、」「たどりついて…………」
アルビー
「………………」
懐の銃を抜く。
少なくともその動作には、一片の迷いも感じられなかった。
アルビー
「……ありがとう」
 
願いがかなったように微笑む。
アルビー
「この世界で、一時の間だけでも……君たちと話せて、共に過ごせて、楽しかったよ」
アルビー
そのまま、彼女の頸動脈に正確に銃口を擬して、
アルビー
その引き金を引いた。
GM
肉塊となったそれが、声を上げることはもうない。
ストレナエ
「あらあら…………」
ストレナエ
「お優しい方なんですね」
ストレナエ
ストレナエが現れる。
ストレナエ
手には割れたワイン瓶を持って。
アルビー
彼女の姿を視認するや否や、再び彼の周りに無数の銃が浮かぶ。
アルビー
その銃口は一斉に彼女を狙い、発砲された。
ストレナエ
ワイン瓶を振るうと、赤い液体と割れた破片が宙を舞う。
ストレナエ
「ああ、酔うと怒れる方なんですね?」
銃弾は破片や液体によって逸らされ、一つも当たらない。
ストレナエ
「さあ、もっと酔いしれて。あなたの理性を犠牲にして」
ストレナエ
「そうして、踊り狂って、最後に立っていたほうが、より救世主にふさわしい!」
アルビー
「……その理性とやら、君は捨てたの?」
アルビー
「随分と安っぽいんだね、君の酩酊とやらは」
ストレナエ
「あら、捨ててはいませんよ。酔いが覚めれば、そこにありますもの」
「けれど、私は酔っている方が楽しいので。」
ストレナエ
「楽しく酔って、この狂った村で楽しく暮らす――」
「それが私の生き方です」
アルビー
「……ふうん、素敵だね」
アルビー
「稚い三月兎や、何も知らない救世主を虐げて搾取して、それで支配欲を満たして満足?」
アルビー
「君は惨めな張りぼての女王様だ」
ストレナエ
「的確な形容をどうも。私の冠は一時のものだと、私が一番良く知っていますから」
ストレナエ
「幼い兎たちを巻き込んで、すべてを虐げるのは好きですが――」
「私が搾取によって支配欲を満たしていると見られているのなら……」
ストレナエ
「それはきっと、冠に目を奪われすぎですよ」
アルビー
「へえ、違うんだ?」
ストレナエ
「すべてのものはいつか犠牲になることでしょうし」
「この状況は一晩のサーカスが偶然続いてるだけのこと」
アルビー
「意外と刹那的なんだね」
ストレナエ
「ええ。この酔いはごまかし。意味はなく、意思はなく、利益もなく。問題を先延ばしにしているだけ」
「この国で生きるのならば、それが一番心地よいと思って、それをしているだけです」
アルビー
「空しくならないの?」
アルビー
「……ああ」
アルビー
「正気だと空しくなるから、酔っているのかな」
ストレナエ
「そうですね」
ストレナエ
「ですから、もう一杯。もう一本。飲みましょう。酔いましょう」
ストレナエ
「『責務』を果たされた、救世主様。あなたも一杯いかが?」
アルビー
――と、会話の隙を突いて、密かにストレナエの背後に飛んでいた一挺の銃が、彼女の背中に弾を放った。
ストレナエ
ストレナエは避けず――
三月兎たち
どこかから飛び出した三月兎の頭に当たる。
ストレナエ
「ふふふ…………」
ストレナエ
「酔っているのは、私だけではありませんよ?」
アルビー
(くっ……)
ストレナエ
「そうそう…………あなたの探している方も、今頃きっと…………」
ストレナエ
「ふふふ、あはははっ」
ストレナエは踊るように後退し、三月兎の群れの中に紛れ込んでいった…………
アルビー
(………………)
アルビー
「……生憎、酔う権利は持っていなくてね」
アルビー
もし、『それ』ができる人間であったなら、彼を銃で撃ち抜くことなく、その手を取っていただろう。
アルビー
「っ、はぁ、はぁ、はぁ、」
アルビー
心臓が早鐘のように鳴っている。呼吸が荒く乱れる。
アルビー
その場にうずくまって、ただ一人、落ち着け、落ち着けと己に言い聞かせるように唱え続ける。
アルビー
初めて人で銃を撃ってしばらく。
その感覚が焼き付いて離れなかった。
アルビー
「………もう、治ったと、思ったん……、だけどな……」
アルビー
まったく、『心の疵』とはよく言ったものだ。
アルビー
そのまま、一人で無理に呼吸を整えて、自分が殺めた彼女と、三月兎の遺体を、日の当たらないところにそっと横たえた。
アルビー
開きっぱなしの瞳を隠すように指で瞼を下ろし、髪を整えてやる。
アルビー
(帰依する宗教も知らない)
アルビー
(丁重に葬ってあげられなくて、ごめんね)
アルビー
それから、彼女が持っていた有用そうな物資を剥いで、丁寧に検分し、懐に収めた。
アルビー
(墓荒らしと、何が違う?)
アルビー
あくまで冷静な理性を残している己の行為をまなざしながら、ますます自己嫌悪に襲われた。
アルビー
(一人で来てよかった)
アルビー
(リラちゃんに、こんなところ、見せられないから)
アルビー
そうして、リラに合流するため、その場を離れた。
GM
*取得アイテムの宣言をおねがいします。
アルビー
*防弾コート×2をお願いします。
GM
*では、衣装なので装備するPCを選択してください。
アルビー
*リラとアルビーでお願いします。
GM
*リラとアルビーの衣装が防弾コートに変わります。
GM
ストレナエ
PKが手番に割り込みます。
ストレナエ
*お茶会ラウンド2 PKの手番①
ストレナエ
先に宣言を。
ストレナエ
*ティットの心の疵「the rules of the game」を才覚で抉ります。
リラ
*横槍入れます。
リラ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
リラ
2d6+0=>7 判定(+猟奇) (2D6+0>=7) > 5[1,4]+0 > 5 > 失敗
[ リラ ] HP : 21 → 20
ストレナエ
ティーセットは温存。
ストレナエ
2d6+3=>7 判定(+才覚) (2D6+3>=7) > 5[4,1]+3 > 8 > 成功
[ ティット ] the rules of the game : 0 → -1
GM
――気がつくと、あなた(ティット)は席についています。
両手両足は縛られており、意識は朦朧としています。
GM
見えるのは、テーブルと、並んでいるワインと、微笑んでいる三月兎の末裔たち。
ストレナエ
そして、亜麻色の髪の女。
ストレナエ
「お目覚めですか?」
ティット
「…………」
ティット
ゆっくりと瞼を開く。
ティット
縛られた手足。
目の前のテーブルには深紅のワイン。
無邪気な笑みを浮かべる三月兎の末裔たちと、麦藁の冠を戴く彼らの女王様。
ティット
「……ははっ」
ティット
「いつの間にお招き頂いたんだか、申し訳ないが記憶が曖昧でね」
ティット
「午後のお茶会の時間かな?」
ストレナエ
「さあどうでしょう?」
ストレナエ
「朝も昼も夜も、酔っていては似たようなもの。」
ストレナエ
「記憶も、存在も、法則も、狂ったお茶会では全てがあやふや」
ストレナエ
「優雅にお茶を楽しみましょう、『まだ勝負の席に立ててない』救世主様」
ストレナエ
「あなたはとても幸運ですよ。今はまだ、なにも犠牲にしていないし、犠牲にされることもない」
ストレナエ
席に腰掛けた女は、ワイングラスをあなたの方へと差し出します。
ストレナエ
「このままじっくりと葡萄のように発酵していきますか?」
「それともすぐにワインの肥料になりますか?」
ティット
「ははっ。お茶会なら茶を出して貰いたいものだね。せっかくの特製ワインだが、オイラは下戸なんだ」
繰り言をしれっと吐き出す。
縛り付けられて身動きがとれぬ状態であるというのに、傲岸不遜な態度である。
ティット
「『まだ勝負の席に立ててない』ね。へぇ………開始の合図はいつ鳴るのかな?」
ティット
「で?このお茶会にお呼ばれしてるのはオイラだけ?」
ストレナエ
「ええ、あなただけ。」
ストレナエ
「お二人の方は…………ふふふ。きっと楽しい時間を過ごしていますよ」
ストレナエ
「酔い過ぎても、きっとあなたを助けに来てくれるかも?」
ストレナエ
ワイングラスにワインを注ぐ。
ストレナエ
「開始の合図はあなたが鳴らしてよいですよ」
「勝ち目のない、理不尽な勝負が待っていることでしょう」
ティット
「…………二人?」
ティット
「ふーん、二人ねぇ……それはオイラと一緒にやって来た二人という意味かな?オイラの記憶が確かなら、あの場に居たのはオイラを除けば4人だった筈なんだが……」
ティット
「そもそも、素朴な疑問なんだが……何故、アンタはオイラ達をまとめてあの地下室へ案内したんだ?」
ストレナエ
「その方が『らしい』からですね」
ストレナエ
「三月兎たちも一番喜んでくれるでしょうし」
ティット
「アリスは30日に一度、自分以外の救世主を殺す義務があるんだって聞いたよ。オイラなら一人ずつ順番に案内するけどね」
ティット
「……まあ、それはいいか」
ティット
「らしさに拘るのも立派な理由だろうし、アンタにはアンタなりのルールがあるんだろう」
ストレナエ
「救世主様の方は思っていたより合理的に考えるのですねえ」
ストレナエ
「酔い足りなさそうで心配です」
ティット
「だから、下戸なんだって」
ストレナエ
「ワイン以外でも酔えますよ」
ストレナエ
「ひとはアルコールではなくても十分狂うことができる」
ストレナエ
「暴力、性交、麻薬に、支配、依存に、殺意」
ストレナエ
「遊戯でも。」
ストレナエ
勧めていたワイングラスを手に取り、自分で飲みほします。
ストレナエ
「ああ、それとも――」
ストレナエ
「下戸ではなく、理由を探しているんですか?」
「この席から降りる理由を」
ストレナエ
「であれば、どうぞ。降りることもできますよ」
「あなたが犠牲を飲まないのであれば、この子たちはそのように判断するだけ」
三月兎たち
三月兎があなたをじっと見つめています。
ティット
「あははっ」
ティット
「己を騙し脳を麻痺させ、抑制や判断力を見失い、誇大妄想に現を抜かす――いいね。酩酊は麻酔かい?ねえ、生きるのって素面ではとても耐えられない程の苦行かい?」
ティット
「ま、いいか」
ティット
「業と遊は離れ難い恋人同士さ。快楽に耽り遊興に耽ることをオイラは礼賛しよう。――いいんじゃない?確かに今のオイラは酔いが足りないようだ」
ティット
ストレナエは先程、二人と言った。
ティット
あの純真な先輩方と、真面目で物騒なあの男――そしてその男にに守られているであろう少女。
どちらが無事である確率が高いかと考えれば、後者の方が断然可能性が高いとティットは考える。
ティット
しんがりを務めるなんて柄じゃない。
ティット
ただ、勝率を上げるためには必要な駒は残せるならば残しておくに越したことはないだろう。
ティット
ゲームの盤上はこの村だけに限らないのだ。この先のことを考えるなら、ジョーカーは手元に残しておきたい。
ティット
あの二人はセットにしておくのが有効だ。
ティット
きっと、お互いにお互いを楔とするだろう。
ティット
「――まあ、いいさ。下戸はおちゃめなジョーク。ティットちゃん、葡萄酒大好き!」
ティット
「で?」
ティット
「両手を縛られたまま、どう味わえって?犬のように手を使わず舐めろって?」
ストレナエ
「ふふふ。その気になってくれました?」
ストレナエ
「心配せずとも、いくらでも飲ませてくれますよ」
ストレナエが合図を出すと、三月兎たちがティットの口元にワイングラスを差し出します。
三月兎たち
「やった!」「アリスとおちゃかいだ!」「たのしいねえ!」
三月兎たち
「おちゃかいをしよう!」「アリス、たくさんのんでね!」「ぼくたちよりのんだら、アリスのかち!」
三月兎たち
「アリスがかったら」「むぎわらのかんむりはアリスのもの!」
三月兎たち
三月兎たちの笑い声。
ティット
「いいねぇ、ルールは単純明快だ」
ティット
「でもおまえら所作が雑そうだからなぁ……、零さず噎せさせず、上手に飲ませてね?」
三月兎たちへ揶揄い混じりに言葉を掛ける。
ティット
「博打も酒と同じ、酩酊と依存を誘うものって?」
ティット
「いいぜ、乗ってやろう。この遊び場はオイラにうってつけの舞台だからな」
ストレナエ
「ふふふ。では、勝利を楽しみに待っていますね」
ストレナエは席を立ちます。
ティット
「えー、行っちゃうの?」
ストレナエ
「ええ。酔っている姿にも興味はありますが…………」
ストレナエ
「私は自分が酔うことが第一。あの方とあなた以外にも、味の良いワインになってくれそうな人は、もうひとりいますからね」
ティット
「ふーん、働き者の女王様にはまだまだお仕事がいっぱいあるってワケだ。うーん勤勉だこと」
ティット
「じゃあ、バイバイ。アンタも存分に酔えるといいな」
ストレナエ
「ええ、お互いに。」
ティット
「オイラは上手に酔えるぜ?」
アンタと違って……と言外に滲ませ。
「ま、二日酔いにご用心、だ」
GM
GM
*お茶会ラウンド2 ティットの手番
ティット
*クエストNo.6 狂ったお茶会を行います。
ティット
*併せて、アルビーの心の疵『善悪』を猟奇で舐めます。
三月兎たち
*配下が横槍をします。
[ 三月兎たち ] HP : 15 → 14
三月兎たち
*ティーセット使用。
[ ストレナエ ] ティーセット : 2 → 1
三月兎たち
2d6+2+2+2=>7 判定(脅威度+PK強化) (2D6+2+2+2>=7) > 11[6,5]+2+2+2 > 17 > 成功
三月兎たち
1d6 (1D6) > 1
三月兎たち
*ヤリイカを使用。
[ ストレナエ ] ヤリイカ : 1 → 0
三月兎たち
-3で猟奇で振ってください。
ティット
2d6+3-3=>7  判定(+猟奇) (2D6+3-3>=7) > 6[4,2]+3-3 > 6 > 失敗
三月兎たち
「もっとのもう!」「たくさんのもう!」
三月兎たち
HPを2点減少することで、ダイスを振り直すことができます。
ティット
「まったく、お酌が上手な兎ちゃんだこと~」
ティット
*HPを2点減少させ振り直します。
[ ティット ] HP : 17 → 15
ティット
2d6+3=>7  判定(+猟奇) (2D6+3>=7) > 10[5,5]+3 > 13 > 成功
GM
*成功。聖遺物が移動します。
[ ストレナエ ] アリスの証言 : 1 → 0
[ ティット ] アリスの証言 : 0 → 1
三月兎たち
「わーっ!」「いっぱいのんでるねえ」「たのしいね!」
三月兎たち
三月兎たちはけらけら笑っています。
[ アルビー ] 善悪 : 0 → 1
ティット
「ああ、いっぱい飲んだぜ。お腹たぷたぷだ!」
ティット
「おまえら、楽しそうで結構なことだね」
ティット
「これで満足かな?」
三月兎たち
「すごいすごい!」「アリスのかち!」
三月兎たち
ぴょんぴょんと飛び跳ねる三月兎たち。
三月兎たち
あなたに輝く『麦藁の冠』を被せて、周りをぐるぐる回ります。
三月兎たち
「むぎわらのおうさまだ!」「わーいわーいっ」
三月兎たち
「きみはもうぼくたちのアリス!」「なにがほしい?」「どうしたい?」
ティット
「おーおー。道化の王様さ。さーて、どうしようかね」
ティット
「そうさねぇ、なんでも好きなものを頂けるってぇなら――」
ティット
「女王様の大事な宝物を賜ろうか」
三月兎たち
「ストレナエの?」「ストレナエのたからもの?」「たからものー」
三月兎たち
「なんだとおもう?」「あててみて!」「ぜったいあてられないよ!」
ティット
「いいね、宝物当てゲームってワケだ」
ティット
「でも、ゲームならルールがあるもんだぜ?この手の当てものゲームはヒントを散りばめるのがセオリーだ。ヒントのない当てものゲームはアンフェアだからな。その上で、如何に悟られないようにヒントを隠すかがミソってもんだ」
ティット
「さーて、おつむに麦わら詰まった兎ちゃんたちに出来るかな?」
ティット
「これは高度な知的遊戯だぜ?」
ティット
挑発してみた。
三月兎たち
「?」「わかんない!」「むずかしい!」
三月兎たちはわちゃわちゃしながら何かを隠すように動いています。
三月兎たち
隠そうとしているのはちょうどワインが置いてあるところのようですね。
ティット
「うんうん。そこの仔兎ちゃんたち。そこのワインボトルを天井向かって両手で掲げてごらん?」
三月兎たち
「わーっ!」
言われるがまま、みんなでワインボトルをもちあげますが…………中は空洞。透明なワインボトルです。
三月兎たち
「みつけちゃった!」「すごい!」「だから、アリスにあげる!」
ティット
「どうもありがと~!」
ティット
「さて」
ティット
「お仕事きっちりこなして、オイラってなんて有能なんだろう……あとでしっかり労って貰わないとな」
ティット
一仕事を終えたような表情で満足そうに目を閉じた。
noname
アルビー
……遺体から離れたあと、リラと合流するつもりだった、が。
アルビー
屋敷や三月兎の様子を窺うに、ストレナエは今地下室にいなさそうだ。
アルビー
(今がチャンスかもしれない……)
noname
「酔っているのは、私だけではありませんよ?」
noname
「そうそう…………あなたの探している方も、今頃きっと…………」
アルビー
ストレナエの言葉が気にかかる。
ティットの無事が心配だ。
アルビー
判断してからの行動は迅速だった。
アルビー
三月兎たちを避けて駆けながら地下室に辿り着き、乱暴に音を立てて扉を開ける。
アルビー
そこで視界に飛び込んできたのは……
アルビー
「――ティット!」
ティット
「おー。お出迎えご苦労さん」
アルビー
駆け寄って、
「無事? 何かされてない?」
ティット
ストレナエが被っていたものとそっくりの輝く『麦藁の冠』を頭に乗せ、ティットは軽い調子でアルビーにウィンクしてみせた。
ティット
「何かはされた。さて、何をされたでしょうか?」
そう問いかけをする悪魔の呼気は強い酒気を帯びている。少々、足取りも危うい。
ティット
顔色がいつもよりも青いのは、飲酒によって血行促進された青い血潮が原因だろう。
アルビー
「ああもう、こんなときに無理して軽口叩かないで」
ティット
「ふふん。ちょーっとおいしいワインを試飲しただけさ。あのワイン、特別性なだけあってお味は中々上等だぜ?」
ティット
「あっはっは!あー、気分がいいぜ……あの女神様ってば、もっと酔えってオイラに向かって言いやがった。オイラの方が女王様よりずっとグッドトリップ上手いだろうが」
ティット
「………………おっと」
ティット
足が絡まり、ふらつく。
ティット
「あー………、際限なく呑ませやがって」
ティット
「………………うっぷ」
アルビー
「……………」
ティット
「………………ふふん!」
アルビー
「吐いた方がいい」
アルビー
「手伝うから、口開けて」
ティット
「だが、オイラの方が一枚上手さ!なあ、班長、褒めてくれや。オイラちゃーんとお宝ゲットしてきたぜ」
気分よく手柄を語っている。アルビーの忠告は聞こえていないようだ……。
ティット
「さあ!見て驚け!」
入手した聖遺物を掲げる。
ティット
「どうだ!オイラのこの鮮やかなお手並み!!」
アルビー
「…………」
話を遮り、酔いで傾いだティットの身体を優しく……だが非常に強引に支え、そのまま床に横たえる。
ティット
「わー」
アルビー
「あとでいくらでも褒めるから」
ティット
「何その慣れた手つき!おまえ、実は悪い狼だなっ!?」
アルビー
横向きにして、
「噛まないでね」
ぺらぺらと舌が回るその口に、これまた強引に指を突っ込む。
アルビー
喉奥を的確に刺激した。
慣れてる……
ティット
「キャー。その手口で今までどれだけの数の女転がしてきたの?オイラ気になっちゃうな~!」
ティット
「……――グ、ゲェ」
ティット
噎せ込む。
アルビー
指を引き抜く。
ティット
「――ウッ、ゲェ――、…ゲホッ!、ゴホッ………!!」
アルビー
唾液とワインで濡れた己の手指を、懐から取り出したハンカチで平然と拭った。
アルビー
「よし、これで胃の中身は空になったかな」
この男、笑顔である。
ティット
「――……おっ……まえ、――」
アルビー
「それで? お宝ゲットしたんだよね?」
アルビー
「すごいなぁ、流石ティット」
にこにこ。
ティット
青い顔で(今までも青かったが今度はまた別の意味で青い)口元を手のひらで覆い、アルビーを恨めしそうジト目で睨む。
ティット
「………………」
ティット
「………………おまえ……覚えてろよ………………」
ティット
「………………うぇ」
アルビー
「でも楽になったでしょ?」
ティット
おっしゃる通り、吐いたらすっきり。
でも素直に認めるのは、なんか嫌だな?
アルビー
「キャパシティ越えて飲んじゃったら、吐かせるのが一番いいんだよ。それに彼女のワインなんて、何入ってるかわかったものじゃないし」
アルビー
「………というか、」
一転して、真顔に。
アルビー
「ごめん」
アルビー
「あのとき、わざと残ってくれたんでしょ?」
アルビー
「俺が上手くやれなかったせいで、君にこんなに大変な思いをさせて……」
アルビー
カップルの片割れである彼女の無惨な死にざまと、この手で命を止めた感触のことも思い出して。
その表情が、翳った。
ティット
「このやろう…………自分のペースで物事進めやがって………だから似非紳士だってんだ、この独断専行野郎が」
ティット
「ふん」
ティット
「オイラにはオイラの思惑があって、計算の上で行動してんだ。だがまあ、恩に着るっていうんなら着せてやるぜ。貸しひとつだ」
ティット
「確かにあン時のアンタはペケひとつだからな。反省しとけ」
アルビー
「……………」
アルビー
「正直、返す言葉もないな」
ティット
「………ハァ」
ティット
「オイラ、アンタの殊勝そうなツラ見てると力が抜けるんだよな。――で?女神様の凶行と陰惨な場面を目にしてプッツン来ちゃったって?」
アルビー
「………………怒ってはいなかった、つもりなんだけどな」
冷静だった、と思う。少なくとも己の認識では。
アルビー
「でも、視野が狭くなってしまっていたのは確かだ」
ティット
「まあなぁ~、アレでいて、頭に血が上ってるって感じでもなかったがね。アンタ、冷静沈着に見えて実はブレーキがないのデフォルトっぽいし?」
ティット
「さて、物騒なお兄さんや。――あの麦藁の冠の女王様はアンタの倫理観と照らし合わせ、倒すべき悪党かい?」
ティット
被った麦藁の冠を弄りながら、問いかけた。
アルビー
「それ、前も言われたことあるなあ~……」
エマージェンシーモードにならないとああならないので、だいたいの人間はアルビーのブレーキがないことに気づかないのだが……
アルビー
「……………………」
倒すべき悪党か、という問いに。
アルビー
「そうだね」
アルビー
「倒すべきだ」
アルビー
そう答えた。
ティット
「欠点に気付けてよかったでちゅね~!自覚があるなら改善に努めな」
ティット
「…………おいおい」
ティット
「オイラの質問には正確に答えな。そりゃ卑怯だろ」
アルビー
――銃で撃たれたときの親友の眼差しは、冷めと軽蔑の色を帯びていた。
noname
「ふうん」
noname
「お前のこと、」
noname
「もうちょっとは、面白い奴だと思ってたのにな」
アルビー
嗤っている。
いつも、自身の内側で。
アルビー
人の内心を抉り取るような、目の前の少年……の姿をした悪魔の姿に、反射的に湧きあがった気持ちは、
アルビー
(――ティットに、)
アルビー
(軽蔑されたくないなぁ……)
アルビー
社会は廻っている。
アルビー
善悪を峻別して。
アルビー
その証拠に、『彼』を加害したアルビーは諸々の酌量で無罪になり、むしろテロリストを捕らえた人間として、賞賛を受けた。
アルビー
極悪非道のテロリストである『彼』は、極刑になって。
アルビー
そのとき、思ったのだ。
アルビー
国家とは、合法的な暴力の独占機構である。
アルビー
その『銃口』は、全ての市民に向いていて、
アルビー
定められた規範である『善』から逸脱したものは、世のため人のためと理由をつけて、無慈悲に撃たれるのだ。
アルビー
能力が心の疵を象徴しているというなら、アルビーにとってのそれが無数の銃なことには、得心がいく。
アルビー
笑ってしまうほど、自分の心象そのままだから。
アルビー
(……でも)
アルビー
(一度、選んでしまったから)
アルビー
自分はつい先ほども、リラに甘い痛み止めを渡した。
アルビー
だから、資格がないのだ。
アルビー
目を開く。
アルビー
ティットの目を真っ直ぐ見て、
アルビー
「悪党だよ」
アルビー
「当然でしょう? 三月兎を虐げて、罪もない救世主を必要以上に殺してる」
ティット
「なるほどなるほど」
ティット
三月兎に贈呈された麦藁の冠を手に取って、アルビーの頭へと乗せる。
ティット
「似合ってるぜ、王子様。言い切ったんなら半端に途中で撤回しないでくれよ?――まあ、してもいいんだが」
どっちに転んでもオイラは物見高く面白がるだけだし。
ティット
「じゃあ、まっ、方針も決まったことですし、お姫様を迎えに行こうかね?」
アルビー
「ははっ、光栄だな」
追及を緩められたな、と思う。
アルビー
――追及するほどの奴じゃないと思われたかもしれない。
アルビー
――この先、いつか、決定的に軽蔑される日が来るのかもしれない。
アルビー
でも、表面上だけでも、その厳しい責め手を逃れられたことにどこか安堵している、厭になるほど弱気な自分もいた。
アルビー
「安心してよ」
アルビー
「撤回なんて、しないから」
アルビー
「……うん、行こうか。これ以上、リラちゃんを一人にするのも心配だ」
GM
ストレナエ
PKが手番に割り込みます。
ストレナエ
*お茶会ラウンド2 PKの手番②
ストレナエ
先に宣言を。
ストレナエ
*リラの心の疵「いいこ」を才覚で抉ります。
アルビー
*横槍!
アルビー
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
アルビー
2d6+0=>7 判定(+猟奇) (2D6+0>=7) > 5[2,3]+0 > 5 > 失敗
[ アルビー ] HP : 15 → 14
ストレナエ
*ティーセット使用。
[ ストレナエ ] ティーセット : 1 → 0
ストレナエ
2d6+3+2=>7 判定(+才覚) (2D6+3+2>=7) > 7[1,6]+3+2 > 12 > 成功
[ リラ ] いいこ : 0 → -1
ストレナエ
一方その頃。
ストレナエ
三月兎の末裔とリラの前に突如として現れる影。
リラ
「!」
ストレナエ
赤い液体にまみれたワイン瓶を持った、救世主が、あなたたちの目の前に立っています。
ストレナエ
「ごきげんよう」
ストレナエ
「やはり、あの2人と離れて行動していたんですね」
リラ
「……何をしに来たんですか?」
警戒を隠さない、尖った声。
ストレナエ
「何をしに来れたら、私は満足できるでしょうね?」
「そこの三月兎の末裔を潰したところで、あまり酔えそうにはないですし……」
リラ
「…………」
三月兎をかばうように、ストレナエと相対する。
 
「ぼくたちのアリスだー」
三月兎はリラの後ろからストレナエを見つめています。
リラ
ストレナエをにらみつけると、
リラ
後ろを振り返って、三月兎に微笑む。
「ごめんね、この人と少しお話したいからちょっとあっちで遊んでてくれるかな?」
 
「?」
「わかった!にらめっこするんでしょ!」
「ぼく、あっちいってるね!」
 
三月兎は小屋の方へと走っていきます。
ぴょんぴょんと跳ねながら。
リラ
「うん! ありがとう! 気を付けてね」
手を振って見送った。かわいい。
ストレナエ
「あら…………危害を加えるつもりは今のところありませんのに…………」
リラ
「あなたの言葉を信じると思いますか?」
リラ
「それと、私にはあなたの満足も関係ないので引き取っていただけると助かるんですけど」
ストレナエ
「随分と嫌われてしまいましたね」
「悲しい…………」
ストレナエ
「ですが、本当にここで引いてしまって、よいのですか?」
「聞きたいことはないのでしょうか?」
ストレナエ
「たとえば…………あなたが見送った、銃を使う男性の方のこととか。」
リラ
「…………」
アルビーさんに何かあったのかもしれない。目の前にこの人がいるのは、そういうことではないのか?
リラ
途端に焦りが生まれる。どうしよう、傷つけられて苦しんでいるのかもしれない……?
リラ
「あ、アルビーさんに何かあったんですか……!?」
それなら、すぐに行かなくちゃ!
ストレナエ
「ふふふ。まあそう焦らなくても、大丈夫ですよ」
ストレナエ
「私は彼をつまみ食いしておりませんので。狂った兎たちにやられてしまうことも、あの様子だとないでしょうね」
リラ
「よかった……」
すぐ人の言葉を信用する。目に見えてほっとしている。
リラ
「どうして、わざわざそれを伝えに……?」
ストレナエ
「伝えたいのは、彼の無事ではなく、彼の行ったこと」
ストレナエ
「あの救世主様は、先程、『とても優しく』赤髪の救世主様を殺されておりましたので」
ストレナエ
「あなたにもご忠告をしに。」
リラ
殺した。
リラ
アルビーさんが。赤髪の救世主――きっと、先輩を。
リラ
心臓が掴まれたように苦しくなる。汗が噴き出す。
リラ
「……あなたの言葉は、信用できない……」
耳をふさぐように、呟く。
ストレナエ
「そう。あなたは信じたいことにだけ聞いて、信じたくないことには耳を塞ぐのですね」
リラ
「…………」
ストレナエ
「ええ。いいことだと思いますよ?」
「人は信じたいものを信じるもの。私も同様です」
「判断基準が周りになっていること以外は」
ストレナエ
「きっと――彼に『納得する理由』を与えられて殺されるときも、あなたは同じように受け入れるのでしょうね」
リラ
「…………」
リラ
「…………やめて」
リラ
「汚さないで、あなたが」
アルビーさんのことを、あの時彼がどういう気持ちで私と向かい合ってくれたのかを、知らないくせに!
リラ
「私のことを悪く言うのは別にいい、です」
リラ
「でも、それに彼を使うのはやめて。あの人はあなたと違って、笑わずに私と目を合わせてくれたの」
リラ
「のらりくらりと躱して、誰とも向かい合ってないあなたとは違うもん」
リラ
「それに、私はアルビーさんを信じます。あなたの言葉……先輩を殺したのが本当だとしても、それにはきっと意味があると思うから」
リラ
ストレナエの忠告の、おいしいところだけを掠るようにしてリラは言い放つ。
リラ
「だって、それがアルビーさんだから」
ストレナエ
「出会ったばかりのようなのに、随分と入れ込んでいるんですね」
ストレナエ
「では、逆はどうかしら。あの方を信じて、信じぬいて。」
「『殺してくれ』とせがまれたときに、あなたはどうするんですか?」
リラ
そんなこと、考えたこともなかった。
リラ
「それは…………」
リラ
「私、やっぱり出会ったばっかりだから、彼のことをそんなに知らないけど…………」
リラ
言い淀む。そして、想像する。支柱のようにこの三人の中心になった彼。穏やかな態度。誰かをかばって、自分は損をする。そして、それを損だとも思わない。
そんな印象が既にある彼。
リラ
「きっと……あの人は『殺してくれ』なんて言わない。……言ってくれない」
リラ
「だから…………私にはわからない」
リラ
「その時にならないと、わかりません…………」
ストレナエ
「そうですかぁ」
ストレナエ
「では、さっそく『試す』ことにしてみましょう!」
ストレナエは背を向けて歩き出す。
ストレナエ
「結果がどうであれ、私はそれで楽しく酔うことができるでしょうから」
リラ
その言葉に困惑するようにしながら彼女の背を見送る。
GM
GM
*お茶会ラウンド2 リラの手番
リラ
*クエスト4を行います それと合わせてティットの疵『the rules of the game』も舐めるぞ~
三月兎たち
*配下が横槍をします。
[ 三月兎たち ] HP : 14 → 13
三月兎たち
2d6+2+2=>7 判定(脅威度+PK強化) (2D6+2+2>=7) > 6[2,4]+2+2 > 10 > 成功
三月兎たち
1d6 (1D6) > 2
三月兎たち
ヤリイカはもうないのでそのまま。
リラ
*愛で判定します!
リラ
2d6+3-2=>7 判定(+愛) (2D6+3-2>=7) > 10[4,6]+3-2 > 11 > 成功
[ ティット ] the rules of the game : -1 → 0
GM
*配下の「精鋭特性:人質」が消滅します。
 それに伴い、救世主『ストレナエ』の愛の能力値が1に戻り、HPが2点増加します。
[ ストレナエ ] HP : 15 → 17
リラ
ストレナエの言葉が心中を埋め尽くす。
リラ
(絶対何も考えてないって思われた…………でも本当にわからないし…………)
リラ
「うう~~~~~…………なんかかっこいいこと言えたらよかったのに…………」
リラ
頭をもやもやさせながら歩くこと数分。いつの間にか足は館の方へと進んでいたらしい。
リラ
辺りを見回す。脱出した当初と比較して、静けさが戻ってきている……ように思える。
リラ
「……アルビーさんには会わなかったな……」
リラ
大丈夫だろうか?
リラ
怪我していないといいんだけど……と考えて、何か見落としていることに気が付く。
リラ
「――ティット! そうだ、まだ中にいるかも!」
リラ
「っていうか、ティットの方が状況的に危ないんじゃ……!? わ~~~ごめんティット!」
再度、辺りを見回す。問題はなさそう。
リラ
ティットを救出すべく(実際危機に襲われていたら助けられなさそうではある)、館内に飛び込む。
リラ
先ほどの問答を忘れるように――頭を空にするようにして、館内の扉をそろそろ開けていく。
リラ
何室か探った先に、奇妙なものを手にする。
リラ
「……なにこれ、計画書……?」
探してるのはティットなんだけどな、と思いながら、なんとなしにそれに目を向けた。
GM
計画書には以下のような内容が書かれています。
GM
救世主【◆(滲んで読めない)】による三月兎の末裔の兵器利用案
・三月兎煙幕:三月兎の末裔の身体にこしょうを詰め、対象に向けて撃つ。
・三月兎爆弾:三月兎の末裔の集団を指定の位置に投下し、麦藁の冠により壊滅させる。
・三月兎陥穽:三月兎の末裔の集団を落とし穴に敷き詰め、亡者を突き落とす。
・三月兎の巣:成熟した三月兎の末裔たちを発狂させた巣に対象を呼び込み、茶々入れをさせる。
GM
%月✕日
・補充→20
・R-7は◆◆◆地域のかぼちゃの亡者の位置に投下→成果△、改良の余地あり。
・E-3は隔離し、人喰い三月のワインを注射。
GM
$月△日
・破棄→7
・補充→35
・T-8は移送時に集団発狂のため緊急処理を行う。
・M-9はこしょうの量を倍にする。
GM
以下、計画や実験の記録のような文が続いており…………
最後のページに、見覚えのある組織名が。
GM
『公爵家』。
この計画にはどうやらその組織が関わっているようです。
リラ
「………………なにこれ」
リラ
ぴょんぴょんと跳ね回って浮かべる無垢な笑顔。優しい掌。アリスを信じる三月兎の姿。
リラ
それが、ここで真っ先に目にしたものだ。
リラ
「それが、あんなふうに泣いて…………」
亡者と呼ばれる姿に変化してしまう。誰かの手引きがあったからだ。
リラ
「早く、なんとかしないと……皆むごたらしく死んじゃう」
リラ
でも、どうやって? どうやって止めればいいんだろう。
リラ
わからない。
リラ
「とりあえずティットを助けて、そして皆に伝えて、それから……」
再び足を動かす。『わからない』を打ち消すように。
リラ
そうしているうちに、ふと、思い出す。
noname
「救世主と末裔という絶対の差はあっても、この関係に愛はありますよ」
「あのこたちが私をどう思っていても、私はあのこたちの女王様になっているんですから」
リラ
きっと知っていたのだろう。それなのに。
リラ
「これが本当に愛だっていうなら……それはやっぱり……」
おかしいよ。
リラ
リラは一人、ストレナエの『愛』はおかしいものだと決定づける。
リラ
その傲慢さに気が付かないまま、部屋を後にして先を急いだ。
アルビー
その頃、地下室では……
アルビー
「こら。まだ身体にお酒残ってるんだから、急に動こうとしない」
アルビー
「リラちゃんとも早いところ合流したいけど、別に俺だけで出てってもいいから」
アルビー
「ティットはもうちょっと休んでなよ」
ティット
立ち上がろうとしてふらつき、よろよろと尻餅をつき床に伏した。
「………………あー。ぎぼち゛わ゛る゛い゛……………」
へなへな。
ティット
「くっそ~、むかつくぜ。肉体に縛られ影響を受けるなんざ、悪魔の名折れだ、ちくしょうめ………………」
ティット
「………………うっ」
ティット
「吐きそう………………」
アルビー
「吐いた方がいい」
アルビー
「もっかいやろうか? さっきの」
ティット
「……………えー」
ティット
「………やだよぅ、もう」
ティット
「無遠慮にオイラの口に指突っ込むのやめて欲しい。この似非紳士。それともアンタの世界じゃ、それが紳士流の振る舞いなワケ?」
アルビー
「ごめんって。今度のは、許可なら今取ろうとしてるじゃん」
アルビー
「生理現象なんだから。恥ずかしがらなくていいって」
ティット
「そういうの、村娘を誑かす遊び人の口上なんだよ。いろんな村でよく見る一幕だっつーの……」
ティット
「あー、やだやだ。一度失った信用ってもう二度と取り戻せないのよ?」
ティット
「二度目は許可を取るから許してなんて、どうしてそんな軽い男になっちゃったの………」
床に伏した体勢をいい事に、よよよ、と泣き真似をする。
アルビー
「……ティットって」
アルビー
「可愛いよね」
ティット
「………………」
ティット
なんだ、こいつ?
ティット
「………………アンタさぁ」
ティット
「軽薄な男だよ。誠実そうな顔しやがって……」
ティット
「………………ハァ」
ティット
ゴロン、と仰向けになり、片腕で顔を覆う。
「きもちわりぃ………………」
アルビー
他意はないけど、なんでも混ぜっ返して軽口を常に撒き散らしてるところ、トゲトゲしてて可愛いな~と思った。
ティット
「……クッソ……………、肉体ごときが持ち主の意向を阻みやがって。クッソ腹立つわ」
ティット
どうやら、儘ならない肉体にご立腹らしい。
アルビー
「気持ちはわかるけど、肉体の不自由がない人生って、それはそれでつまらなくない?」
リラ
……と、二人がいちゃいちゃボーイズラブの領域を展開している最中……
リラ
駆け足があなたたちの耳に飛び込んでくる。
ティット
「あ゛ぁ?司令塔の命令通り動かない末端器官がよぉ………って気分なんだわ」
うだうだ中。
ティット
「………………ん?」
アルビー
「………………」
足音を耳にして、警戒した面持ちで、動きが重そうなティットを背に庇うようにして前に出て……
アルビー
その姿を目にした。
リラ
「あっ」
アルビー
「……リラちゃん、よかった!」
安堵したように相好を崩す。
リラ
視界にアルビーと……その後ろに隠されるようにして、ティットの姿が入り込む。
アルビー
「別れたあと、館の警備が手薄なのに気づいたから、ティットを助けに来てたんだ」
アルビー
「一見無事そうだけど……大丈夫? 何かされてない?」
リラ
「ああ、そうだったんだ……! よかった、二人とも無事みたいで」
アルビーの言葉に、同じく安堵から来る言葉を返し、ふと立ち止まる。
リラ
『あの救世主様は、先程、『とても優しく』赤髪の救世主様を殺されておりましたので』
リラ
(…………)
リラ
「……はい! 私の方は何もなかったです! あの子たちと変わらず遊んできただけなので!」
ほんの一瞬躊躇したのち、笑みを浮かべる。
リラ
「ティットは……なんか顔色悪くない? 大丈夫?」
少し逃げるように、ティットの状態を確認した。
ティット
「………………リラちゃん…………声が頭に響く……元気なのは分かったから、もうちょっとおしとやかに喋ってくれる………………?」
しおしお。
アルビー
「……そう。それならいいんだけど」
リラの不自然な一瞬の間に違和感を抱きつつ。
リラ
「なんか……お酒臭い。酔ってるの?」
逆にティットには遠慮がない。
アルビー
「俺の助けが遅くなったせいで、ティットが『彼女』にお酒をいっぱい飲まされてしまったんだよね……」
ティット
「うっせ~………、リラちゃんさぁ…………コイツに向ける殊勝さの半分でもオイラに向けたことあって……?」
へたり。
リラ
「『あの人』が…………」
神出鬼没すぎる…………
リラ
「ティット、大丈夫……?」
ようやく事態の深刻さに気が付き、わりと本心からティットを心配する。
ティット
「………ハァ」
ティット
「ご心配どうも。まぁ、だいじょーぶさ。オイラ強い子負けない子」
ティット
そう言って上体を起こそうとし…………、
「………………う、っぷ」
口元を押さえてへたった。
リラ
「全然大丈夫じゃないじゃん。横になってた方がいいよ」
リラ
「っていうか、一人の方が気が楽になるならあっち行ってよっか?」
こういうのが身近にいたのでそこそこ扱いに慣れてるっぽい?
リラ
「あ、でもちょっと待って! その前に二人に見てほしいものがあって」
思い出したように計画書を見せる。
ティット
「あらまぁ、アナタ気遣いが出来る子なのね!?どこぞのスケコマシとは大違い!!」
口元に手のひらを当てて、まぁ!と大仰に驚いてみせた。
ティット
「で?なに?見てほしいもの?」
アルビー
「なになに?」
ティットの揶揄、流し!
リラ
「………………」
こいつ、めちゃくちゃ失礼だな……。ティットを睨む。
リラ
「えーっと、さっき館内で見つけて……」
大まかに説明したのち、二人に計画書を見せた。
アルビー
「…………これは」
ティット
「おやまぁ…………これはこれは」
アルビー
「兵器として利用していたみたいだね」
アルビー
「『彼女』はこの村で、公爵家とやらの指示でそれをやって、代わりに便宜を得ていた……?」
リラ
「なんとかできないかな、と思って……でも、どうすればいいんだろう、って……」
リラにはこの状況を打破するだけの力がない。
アルビー
「なんにせよ、許すべきことじゃないな」
ティット
「そーねぇ」
酔っ払っていることを口実に、寝っ転がって、頬杖ついたまま足をぷらぷらさせながら会話に混じる。
ティット
「ま、アンタ等が許せることじゃないんだろうさ」
アルビー
「そうだね」
リラの様子がやはり心配である。この状況下で憔悴しているのだろう。無理もない、と思う。
アルビー
まずは指針を明確に持たせるのがいいだろうと、無意識のレベルで計算している。
アルビー
「やはり、『彼女』を倒すべきだ」
アルビー
「どの道、俺たちは命を狙われている」
アルビー
「『彼女』にここが統治されている限り、三月兎たちは尊厳を奪われて、兵器として使い潰されるしかない」
アルビー
欺瞞。
自分が生きてきた社会は多かれ少なかれ、いつもこういうもので。
己は屠殺された家畜を口にして、平気で生きてきたのではなかったか?
アルビー
そんなことは、おくびにも出さない。
ティット
お手並み拝見とばかりに寝転んだまま静観している。
リラ
「尊厳を奪われて、兵器として使い潰される……」
復唱する。それは、そうだろう。実際その場を目撃した。
リラ
「『彼女』を倒すべき……。うん、そうですよね……」
アルビー
「……成り行きとはいえ。一緒に行くって言ったのに、一人にしてごめんね。リラちゃん」
アルビー
「不安だったでしょ?」
アルビー
「もう大丈夫だから」
リラ
「いえ、いいんです! あの時はそうするしかなかったし、私から離れたんですから」
あたふたとアルビーの言葉を訂正する。そして、恐る恐る口を開いた。
リラ
「あの……三月兎の子たちもそうですけど……先輩方も大丈夫でしょうかっ? はぐれて、それきりだから……」
アルビー
「そうだね。ティットは知らない?」
ティット
「んー?」
ティット
「見てないね~。解放されてはじめに出会ったのがアンタだったんだもん」
アルビー
「そっか……」
言う必要はない。
アルビー
あんな痛ましくて惨たらしい最期、この二人は知らなくていい。
アルビー
呼吸を乱して震えていた、情けない俺のことも。
リラ
「そう、だよね……そうですよね。失礼しました!」
言ってはくれなかった。
ティット
「なーんか、歯にもの挟まったような言い方してんね~リラちゃん?」
リラ
アルビーさんを信じている。その言葉にやはり嘘偽りはない。彼は今も優しい。ただ、言ってくれなかったことが寂しいだけだ。
リラ
ティットに向かって。
「いやいや、私はいつもこんな話し方してるよ」
ティット
「へぇ~そうなんだ~」
ティット
「そいつは失礼」
ティット
「リラちゃんがそう言うんなら、オイラの勘違いなんだろうさ」
アルビー
「……ティットが回復したら、『彼女』の隙を見て裁判とやらを仕掛けるとして」
アルビー
「俺、ちょっと館の周りの様子を見てくるね」
ティット
鮮やかなお手並みですこと!
アルビー
「リラちゃん、ティットの介抱をお願いしてていい?」
リラ
「あ、はい! 介抱は得意なので任せてください」
アルビー
リラの様子が少しおかしいことには気づいていた。
自分がいない方が落ち着くかもしれない。
リラはティットといるときの方が自然体に見えるから。
ティット
介抱は得意だと請け負ったリラに向かって茶々入れをする。
「え~?ほんとに~~?オイラ不安だな~」
アルビー
「じゃあ、仲良くね。ティットも大人しく安静にしてること」
とか言い残して、その場から離れた。
リラ
「もう、うるさいな。っていうかティットは『失礼』だっていうなら私への態度諸々がもう全部失礼だからね」
自然体のやり取り。
リラ
「あ、行っちゃった」
気を付けて、って言えなかったな。
ティット
「しょんぼりしちゃって、まあ~」
ティット
「リラちゃん、アイツとオイラへの態度、露骨にちがーう」
けらけら。
リラ
「それはティットの態度にも問題があるからだと思うけど…………」
まあ、否めなくはある。
ティット
「ふーん、例えばどこに問題があるって?」
リラ
「ええ…………?」
リラ
「まず露骨に私を馬鹿にしているというか……っていうかわかってやってるよね?」
ティット
「えー、もっと具体的に言ってくれなきゃオイラわかんなぁ~い?」
寝転んだまま、かわいこぶってしなを作る。
リラ
腹立つ~。弱ってなかったらもっと「うわ」って顔してやったのに。
リラ
「そういう態度のことを言ってるの!」
リラ
「まあ、いいんだけどね。それがティットの持ち味だと思うし……」
ティット
「リラの言うことが尤もだって納得したら、革めることもやぶさかじゃないぜ?」
本当か?
リラ
「信用できないお言葉をどうも。でもそもそも、私がティットにニコニコしてたらさ……ティット、ドン引きするでしょ。しないの?」
ティット
「おっまえ…………」
ティット
「それは、穿ちすぎじゃねーの?」
ティット
と、言いつつ、実際にやったらドン引きするだろうけど。
リラ
「えっ、そうなの!? じゃあもうちょっとティットの前でも可愛くしてるね」
アルビーの前で可愛くしてる自覚はあったらしい。
ティット
「わぁー……」
ティット
「リラちゃんもオンナノコですのね~」
ティット
「強かで、そういうのワタシはキライじゃないわよ?やっるぅ~!!」
しなを作ってくねくねする。
リラ
うわ~……とドン引きする。こいつ、本当は結構元気じゃないのかな?
リラ
もしかしたらそういう風に振舞ってくれているのかもしれないけれど。
ティット
「オイこら、人にドン引きするなと言っておいて(※そうは言ってない)自分がドン引きしてんじゃね~よ」
リラ
「だって……変なんだもん」
ティット
「失礼なガキだこと」
ティット
「だがまあ、素直でよろしい」
ティット
「…………そんな素直なリラちゃんだけど、さっきは何なの?なんか気になってたことがあるんじゃないんでちゅか~?」
リラ
「…………」
少し迷ったのちに。
リラ
「……うん」
素直に認めた。
リラ
「なんだろう、何が気になってるのかな……」
信じると決めた気持ちが揺らいでいる? いや、それは少し違う気がする。
リラ
「不安なのかもしれない……?」
ティット
「ふーん?リラちゃんの不安の芽はなーに?」
リラ
「うーん、それがわかったら苦労はしないんだけど…………」
リラ
「私ね、多分怖いんだよね。一歩進むとき、振り返って『大丈夫だよ』って言ってくれるものがないと、怖い」
ティット
「あら!リラちゃんってば、とんだお子ちゃまね!」
リラ
「またからかう~……」
リラ
「うん、でもお子ちゃまだから……ティットはすごいよ。私はティットみたいにはきっとなれないもん」
ティット
「ティットみたいにって?リラはオイラの何がすごいと思ってるワケ?」
リラ
「その……物怖じしない性格?」
リラ
「明け透けな態度とかもそうかも」
ティット
「リラも大して物怖じしてるようには見えないけどな~。適応力たっかーい!」
ぱちぱちぱち。称賛を送るように手のひらを打ち合わせた。
リラ
なんかむかついたのでティットの頬を軽くつねった。
ティット
「イテテテ……、ぼうりょくはんたーい」
ティット
「口で勝てないとなると暴力に訴えるの、よくないとおもいまーす!」
リラ
無視して話を進める。
「……ティット、多分わかって館内に残ってくれたんでしょ。ドジって残されるようなヘマ、しなさそうだし」
リラ
「私にはできないから、そういうところもすごいと思ってるよ」
ティット
「随分とオイラを買ってくれてるじゃん?オイラちょっとびっくり……」
リラ
「言ったら言ったではぐらかされそうだから言わなかっただけ」
ティット
「ふんふん。リラちゃんは厚かましいけど義理堅い。けど、恩に着なくたっていいぜ……いや、着てもいいけど?その方がオイラにとっては都合がいいし?」
ティット
「なんにせよ、オイラはオイラの利を考えて、その方が得だと考えたからそうしたに過ぎないのさ」
リラ
「あ、そうやって格好つける! 尊敬してるって言ったんだから素直に受け取ればいいのに」
ティット
「うーん………人の話を聞かない子だなぁ…………」
ティット
「まあ、称賛は有難く受け取るがね。そうじゃなくって、オイラはこのゲームを有利に進行するため必要な手を打ったに過ぎないって話をね…………」
リラ
「だって、それ格好つけじゃん。ゲームを有利にするため……つまり自分の損得を考えて動くなんて、当然のことでしょ。皆やってることで、わざわざ口にすることじゃない」
リラ
「そういうところ、真面目だよね」
ティット
「お!賢しらなこと言っちゃうじゃん?」
ティット
「うーん、なるほど~!オイラちょこっとリラちゃんのこと見くびってたかもしれねーな?」
ティット
「真面目だなんて!そんなこと言われたのオイラはじめて~」
けらけら。
リラ
「そうかな? 割とずっと思ってたよ」
リラ
「ふんふん。ティットちゃんはすぐおちゃらけるけど根は真面目で優しい」
ティットの発言をなぞるように、リラも揶揄う。
リラ
「少なくとも私はそう思うって話!」
ティット
「………………あっそ」
ティット
真面目で優しいなんて。
ティット
怖気が走る。
ティット
けれど、――そう捉えられても仕方がない言動をしていることから目を逸らすことは出来ない。
ティット
所詮は便利なツール。
使い勝手のいい、ピースのひとつにすぎない。
ティット
使い手の使い勝手のいいように設定された歯車だ。
ティット
あーあ。
ティット
虫唾が走るね。
ティット
「やっだ~!ナマイキ~!!オイラのひたむきな献身に気付くなんてリラちゃんってば実はオトナじゃな~い!!」
ティット
「お兄さん、ちょーっと見くびっちゃった~。だってリラ、基本がきんちょだし~」
リラ
「…………具合悪いんじゃないの? 寝ときなよ」
おちゃらけだしたティットにじとーっとした視線を投げながら文句をぶつける。
リラ
「ほらほら、かわいくてオトナなリラちゃんが優しく看病してあげるからね~」
ティット
「やっだ~、やっさしぃ~。膝枕してくれるなんて、そんな悪いわ~」
ティット
「え?遠慮するなって?」
ティット
「そっか~、そんなに言うんなら、仕方ねぇな~!!」
リラ
「あら、ティットちゃんは人肌が恋しくなっちゃったんですか? しょうがないな~~~」
リラ、びっくり! みたいな顔をしつつ。
リラ
「でも本当に頑張ってくれたしね、休んでほしいと思ってるよ」
リラ
「さっきも言ったけど……席外そうか?」
リラ
「え、本当に膝枕した方がいいならするけど……」
ティット
「んー……。じゃあ、お言葉に甘えよっと。膝貸して~」
リラ
「あ、そっちなんだ!?」
マジでびっくりした顔をしつつ、
「わかった。じゃあゆっくり休んでね」
軽く服をはたいて膝を差し出した。
ティット
「じゃあ、遠慮なく」
ティット
差し出された膝の上に頭を預け目を閉じる。
「お!やわらけ~」
ティット
「ふんふん。中々悪くないね!」
ティット
――ああ、屈辱だなぁ。
ティット
この返礼はいつか、必ず、この小娘へとくれてやろう。
ティット
そのために、今日はあえて、屈辱のフルコースで腹を満たす。
ティット
ああ、……この世はまこと、儘ならない。
ティット
それは人外の身であっても同じことだ。
………………不本意なことに。
リラ
ティットの内心などリラは微塵も気にせず、自身の膝に乗せられたその小さな頭を軽く梳いている。
リラ
(こういうふうにしてたら、ティットも可愛いんだけどなあ。でも話を混ぜっ返してこそティットはティットだからなあ……)
リラ
……いいな。そういう自分があって。
リラ
どこかでティットの姿を羨む自分の声を聴きながら。
リラ
この休息が、ティットの疲れを癒せますようにと本心から願って、リラはアルビーが戻ってくるのを待った。
リラ
(うん、がんばろう……私も。何があっても)
アルビー
二人がそんなこんなしているうちに、
「ただいま」
アルビーが戻ってきた。
アルビー
「おや」
二人の微笑ましい様子にニコニコする。
アルビー
「外の様子は変わりないみたいだったよ。『彼女』にも遭遇しなかった」
アルビー
「ティット、気分はマシになった?」
ちょっと悪戯っぽく、リラの膝の上の彼に訊いた。
ティット
「そうかい。見回りごくろーさん」
ティット
リラの膝に頭を預けたまま応える。
ティット
「んー………、大分酒は抜けてきた」
ゆっくりと目を開く。
ティット
んー、と背伸びしてリラの膝から頭を起こし、胡坐をかいて床に座り、緩く首を振った。
リラ
「わっ、本当に大丈夫なの? 頭痛かったりしない?」
心配している。
ティット
「へーきへーき!完全回復。今なら風より早くひとっ飛びして、月にも手が届く勢いだ!」
リラ
「あ、本当に大丈夫みたいです」
しらっとしてる。
アルビー
「それならよかった。看病お疲れ様、リラちゃん」
彼女の様子が先ほどよりも自然体に戻っていて、よかったなと思う。やはりこの二人は相性がいいのだろう。
リラ
「いえ、アルビーさんこそ見回りお疲れさまです」
そう言ったのち、アルビーと目線を合わせるようにして立ち上がる。
リラ
軽く手をとり、確認する。どうやら、怪我はしていないようだ。
……よかった。
アルビー
……人を、三月兎を、殺めた手だ。
アルビー
目に見えなくとも、それはもう血で汚れている。
今に始まったことではないけれど。
リラ
あたたかい手だ。
リラ
あたたかくて、優しい。自分を撫でて、庇ってくれた手。
アルビー
そんな内心はおくびにも出さず、真っすぐに見つめ返す。
アルビー
「リラちゃん」
アルビー
「しつこいようだけれど、もう一度聞くね」
アルビー
「これから、きっと『裁判』だけど」
アルビー
「覚悟は大丈夫?」
ティットには問わない。
リラ
先ほどのように、彼の瞳を覗き込む。綺麗な眼差し。
リラ
実際のところ、わからない。覚悟なんて問われても実感がない。
リラ
――でも、例えば、『彼女』を倒した先に、三月兎は笑っているのかもしれなくて。
リラ
それに、私と目を合わせてくれる彼に応えたい。
リラ
「はい。私、頑張ります。だから心配しなくて大丈夫」
リラ
「優しくしてくれてありがとう、アルビーさん」
アルビー
「……そう」
アルビー
無理はしないでね、と口からついて出ようとする言葉を飲み込んで。
アルビー
「じゃあ、頼りにしちゃおうかな」
わざと冗談めかして、期待をかけてみせる。
アルビー
支柱のない人が立つためには、意味や期待が必要だから。
アルビー
その痛み止めは、いつか毒になって、彼女を殺すかもしれないが。
そうならないように、自分が守ればいいのだ。
ティット
舞台に役者が揃って、演目はそろそろ最終局面。
ティット
さあさ、お立ち会い。ご用とお急ぎでない方は ゆっくりと聞いておいで。
ティット
悍ましくも哀しい悲劇になるか、快活で諧謔的な喜劇になるか。
ティット
あるいはそれらは同じものかもしれないがね。
ティット
ともあれ、役者は舞台に揃った。
ティット
さあさ、お立ち会い!
ティット
結末にご期待あれ!!
GM