
招待客のTさん
「仕込みは上々」
「仕込みは上々」

招待客のTさん
「アシレトを呼び込む」
「アシレトを呼び込む」

みずたまり
「……ゆゆっ!」
「……ゆゆっ!」

【蛇が出たら神話は終わる】
ぱらぱらと
あめがふっていました。
おてんとうさまは、
がいなるかみをまちうけています。
そらにわで。

招待客のTさん
「…………」
「…………」
おてんとうさまは、
くらいもりのなかを
さくさくとあるいていきます。
みずたまりはそれについていきます。
おてんとうさまは、
なにもしゃべりません。
よびこむ、
といっていましたが……。
がいなるかみは
こちらへ
やってくるようすがありません。

みずたまり
「ゆゆゆ~?」
「ゆゆゆ~?」
みずたまりはあせりました。
がいなるかみのあしれとは、
とてもかしこいようなので、
おてんとうさまのかんがえていることも、
わかってしまったのでは?と。
おてんとうさまは、
みずたまりにも、
なにもはなしてくれませんでした。
きょう、あさ、めがさめて、
きゅうに、あしれとをよぶ、
ときいたので、いるだけです。
みずたまりは
おてんとうさまをしんじています。
みずたまりは、
おてんとうさまのいるところから
ふってうまれたからです。
だから、おてんとうさまのことがすきだし、
おてんとうさまがすきな、まおうのりりともすきです。
でも、みずたまりは
おてんとうさまのことがよくわかりません。
これからなにがおこるのか、わかりません。

招待客のTさん
「案ずるな。みずたまりはここにいるといい」
「案ずるな。みずたまりはここにいるといい」
おてんとうさまは、みずたまりを、
くらいもりのなかの、いずみにちかいばしょにおきました。

みずたまり
「ゆ…………」
「ゆ…………」
みずたまりはふあんでした。
みずたまりはあまりかしこくありません。
けれど、なんとなくさっすることはできます。
おてんとうさまは、
ここにみずたまりを
おいていくつもりなのではないでしょうか。
そうなれば、
みずたまりはひとりぼっちです。

招待客のTさん
「さみしいか?」
「さみしいか?」
みずたまりのふあんは、
かみさまがおみとおしです。

みずたまり
「ゆ。」
「ゆ。」

招待客のTさん
「ふふふ」
「ふふふ」
おてんとうさまがわらいます。

招待客のTさん
「案ずるな。すぐに済む」
「案ずるな。すぐに済む」

みずたまり
「……」
「……」
そうはいっても。
みずたまりはそらにわで、
いつもおてんとうさまといっしょにいました。
おてんとうさまがそばにいなくても、
おてんとうさまはうつせます。
おてんとうさまはどこにでもいるからです。
みずたまりはそれでよかったのです。
みずたまりは、
おてんとうさまをうつすのがしごとなので。
おてんとうさまがいなくなったら、
みずたまりはなにをうつせばいいのでしょうか。

みずたまり
「ぷーぷゃ」
「ぷーぷゃ」
みずたまりは
もらったぼうを、ぷらぷらさせました。
けっきょく、
『意味を持たぬ言の葉』、
のことはよくわかりませんでした。
おてんとうさまにきいても、
おしえてくれないのはしっています。
みずたまりは、
じぶんでそれがわからなかっことをくやむのです。

招待客のTさん
「水鏡」
「水鏡」
おてんとうさまが、みずたまりをよびます。

招待客のTさん
「しばし待て。行ってくる」
「しばし待て。行ってくる」

みずたまり
「ゆ!…………ゆ……………………」
「ゆ!…………ゆ……………………」
わかれはとつぜんです。
ちょっとそこまでいってくる、とでもいうように、
おてんとうさまは、たかいところへのぼっていきます。
みずたまりが、よびとめることもできないはやさです。
もうすがたもみえません。

みずたまり
「……」
「……」
ほんとうに、かえってくるんでしょうか。

招待客のTさん
「ただいま」
「ただいま」

みずたまり
「ゆ!?」
「ゆ!?」
かえってきました。
みずたまりがふあんで
ぴちゃぴちゃしていたら、すぐに。

みずたまり
「ゆゆゆゆゆ!」
「ゆゆゆゆゆ!」
みずたまりはびっくりして、
おてんとうさまのあしもとをかけまわります。

招待客のTさん
「これで解決だ」
「これで解決だ」

招待客のTさん
「リリトと世界を元通りにするにはしばらく時間がかかるが、遠隔からでも行えるだろう」
「リリトと世界を元通りにするにはしばらく時間がかかるが、遠隔からでも行えるだろう」

みずたまり
「ゆー」
「ゆー」
ひょうしぬけです。
あしれとはそんなによわかったのでしょうか。
でも、みずたまりは
そこまでぎもんにおもいませんでした。
だって、おてんとうさまは、いちばんつよいのです!

みずたまり
「ゆ!ゆ!ゆ!」
「ゆ!ゆ!ゆ!」

招待客のTさん
「はしゃぎまわるとは、元気がよいな」
「はしゃぎまわるとは、元気がよいな」
おてんとうさまもほっとしているようです。
これでせかいのききは…………


みずたまり
「……………………ゆ?」
「……………………ゆ?」
なにか、います。
おてんとうさまの、まわりに、
おおきな、ひもみたいな。
なにかが。

みずたまり
「ゆ?ゆーゆ」
「ゆ?ゆーゆ」

招待客のTさん
「どうした?」
「どうした?」

みずたまり
「ゆ!『削除』『削除』…………ゆ!?」
「ゆ!

招待客のTさん
「む?」
「む?」
みずたまりは、
おてんとうさまにつたえようとしましたが、
なぜかつたえられません。

みずたまり
「ゆ……?」
「ゆ……?」

『こんにちはあ』

みずたまり
「きゅ!?」
「きゅ!?」
みずたまりは『びっくりしたねえ。びっくりしたのだろうねえ。』

蛇
「『けれど、きみのこえはとどかない』」
「『けれど、きみのこえはとどかない』」

みずたまり
「!」
「!」

蛇
「『ああっ、文字で書いても無駄無駄。読めないだろうからね。』」
「『ああっ、文字で書いても無駄無駄。読めないだろうからね。』」

蛇
「『全知全能の神でも読めやしないさ。認識できるわけがないんだ。』」
「『全知全能の神でも読めやしないさ。認識できるわけがないんだ。』」

蛇
「『こちらはそういう存在なのでね。』」
「『こちらはそういう存在なのでね。』」

みずたまり
「…………!!」
「…………!!」

招待客のTさん
「水鏡?」
「水鏡?」

蛇
「『まあまあ。』」
「『まあまあ。』」

蛇
「『たのしくやろうじゃないか、水鏡くんとやら。』」
「『たのしくやろうじゃないか、水鏡くんとやら。』」

みずたまり
「ゆ!…………ゆゆっ!」
「ゆ!…………ゆゆっ!」

蛇
「『あー。僕をなんとかして伝えようとしてもできないぜ。』」
「『あー。僕をなんとかして伝えようとしてもできないぜ。』」

蛇
「『そうだなあ、君になにかできることがあるとすれば……』」
「『そうだなあ、君になにかできることがあるとすれば……』」

蛇
「『黙ってお天道様を映し続けることだけだ。』」
「『黙ってお天道様を映し続けることだけだ。』」

みずたまり
「…………ゆ、ゆゆっ…………!!」
「…………ゆ、ゆゆっ…………!!」

『なにも異常はないぜ。』
『なにも起こらなかった。』
『君が見ぬふりだけすれば、すべてまあるく収まるぜ。』

蛇
「『じゃないと恐ろしいことが起きてしまうよ。』」
「『じゃないと恐ろしいことが起きてしまうよ。』」

みずたまり
「ゆっ…………」
「ゆっ…………」

蛇
「『そう!君は僕に逆らえない。』」
「『そう!君は僕に逆らえない。』」

蛇
「『無知で愚かだからだ。こどもだからだ。』」
「『無知で愚かだからだ。こどもだからだ。』」

蛇
「『恐怖を提示すればそれに黙って従うしかないんだ。そうだね?』」
「『恐怖を提示すればそれに黙って従うしかないんだ。そうだね?』」

みずたまり
「ゆ゛ーーーっ……!」
「ゆ゛ーーーっ……!」

蛇
「『あっはっはっ。』」
「『あっはっはっ。』」

招待客のTさん
「?」
「?」
レポート▼
これでこの話(日記)は終わりだ。
さあさあ、閉じた閉じた。