前回までのあらすじ:えらいことになっている。





ナレーション
「お天道様(かみさま)がいた世界はピンチ!
 邪悪な世界征服(出張代理)で統治していた魔王も、
 更に邪悪な侵略者にボコボコにされ、滅亡寸前!
 一方、バカンス?に来たお天道様はというと……

 


 
 ソラニワライフ絶賛エンジョイ中だった!!」



みずたまり
「ゆゆゆゆゆ!」

招待客のTさん
「水鏡よ。慌てるでない。あちらとこちらでは時の流れも違う」


みずたまり
「ゆー。ぴゅゆゆ!ぴゃーう!」

招待客のTさん
「ふむ……」


招待客のTさん
「ならば、頃合いか」

みずたまり
「ゆ?ゆゆっ」


招待客のTさん
「そうだな。水鏡もだいぶ知恵をつけた。それでは……」

招待客のTさん
「授業を行う!」




みずたまり
「ゆゆ!?きゅうう!」

招待客のTさん
「む。心外な。我輩はふざけてなどいない」


招待客のTさん
「水鏡よ。お前には知る権利がある。知る欲がある。ならば知れ。双方の世界のために」

みずたまり
「ゆゆ……」


みずたまり
「ゆゆゆ?」

招待客のTさん
「そうか。まずはそこからであろうな……」



「世界とは。」


「縦と横に並んでいる。世界の外(宇宙)は空白である。」


「世界はときに、星や神として称される。」



「我輩であれば「天」。お天道様。
 すなわち世界を統べる、世界そのもの。」



「次に、被造物。」



「水鏡。リリト。花。言葉。大地。人間。それらのこと。
 世界によって作られることもあり、そうでないこともある。
 世界(己)を構成するものを、隅から隅まで作る者もいれば、
 我輩のように自ら発生するのを観測する者もいる。」


「そして、アシレト。侵食者。」



「あれも被造物ではあるが……
 世界と関わってできたものではない。
 空白の歪み。世界の外より遣われしモノ。」

「世界と世界は独立しており、
 ときに擦り合い、跨ることはあれど、
 それはあくまで『世界同士』での干渉であった。」

「それを空白は好まなかった。」

「空白は、意思を持っている。持ってしまった。
 空白は永久に眠っている。目が覚めることはない。
 覚めてしまえば、我輩とおなじようなことになる。」

「しかしながら、覚めぬ代わりに夢を見る。
 その夢の案内人こそがアシレト。」

「空白を楽しませるべくやってきた、外からの客人。」



みずたまり
「みゅきゅるー」

招待客のTさん
「言えて妙。星を付けるのではなく、星を喰らう調査員というわけだ」



「触れてしまった時点で終了。
 棘にまみれ、星は傷つき、産み直される。」

「やがて至るは茨の王国。
 白中夢による絶対秩序。
 空白による降り神遊び。」



みずたまり
「ぷぷゃ……ゆゆぅー」

招待客のTさん
「たまたま目をつけられたわけではない。」


「『すべて』。」

「同時全体攻撃。縦横に存在していた世界は、その多くが消滅した。」


「『とりあえずぜんぶやる』。
 『降りてから考える』。
 『手当り次第にやる』。
 『大半は壊れてしまうだろう』。
 『だがそれでいい』。
 『どうせ無限にあるのだから』。」


◆◆
「実に――」


◆◆
「実に、夢のない怪物だ。」

◆◆
「それでは、我輩と似たようなものではないか」


みずたまり
「……ゆゆゆ」

みずたまり
「ゆ!ゆゆっ。きゅゆー?」


招待客のTさん
「すでにしている。『もてなし』ている」

招待客のTさん
「リリトには悪いが、事前に対処したほうが分が悪い」

招待客のTさん
「『全力で対処した上で全力を出されて負けた』例を、あのラジオは懇切丁寧に語っていた」


みずたまり
「ゆ。ゆゆゆー、ゆゆゆ。ゆゆっ!ゆゆきゅ?」

招待客のTさん
「いいや?勝つ気はない。既に勝敗は決している」

招待客のTさん
「逆に言えば、勝つ必要などない。我輩の目的は、逆転し勝者になることではなく、試合そのものを消滅させること」


招待客のTさん
「その方法として、ここ(ソラニワ)に、アシレトをおびき寄せる。」

みずたまり
「ゆ!?」


招待客のTさん
「引き込むのではない。寄せるのだ。空白と空白の狭間で停止させる。」


みずたまり
「ゆゆ?」

招待客のTさん
「ああ。ソラニワについて説明していなかったか」

招待客のTさん
「ソラニワは、別の空白にある世界。世界という線でできた紙(空白)も、無数に存在している。」

招待客のTさん
「図に表すとこう。」



みずたまり
「ゆ~ん?」

招待客のTさん
「複雑か?単純な違いをあげるとすると、ソラニワには意思ある空白は存在せず、アシレトのような存在も生まれていない。」

招待客のTさん
「紙面(層)が異なるのだ。異世界、別世界というよりは、それこそ『他者の夢の中』というのが適している。」

みずたまり
「ゆゆ……」


みずたまり
「ゆー……ぴゅゆゆ」

招待客のTさん
「我輩という世界と、ソラニワの世界、どちらつかずの箇所でその足を潰す」

招待客のTさん
「そのための、そなただ」

招待客のTさん
「……といっても、最初はここまでする予定はなかったがな」

招待客のTさん
「最後のひと押しになれば、と思っていた者に、すべてを任せることになる」

招待客のTさん
「……それは、リリトもそうか」


みずたまり
「……ゆ?」

招待客のTさん
「水鏡よ。そなたに、使命を。神託を与えよう」


みずたまり
「ゆゆゆ……?」


招待客のTさん
「『意味を持たぬ言の葉』を完成させよ」


みずたまり
「ゆゆゆ……!」


*ぴこんっ*

みずたまりは ひのきのえだを てにいれた!▼

招待客のTさん
「それをやろう。目指すべきものは示さずとも、花を追えば見つかるはずだ」


みずたまり
「ゆ!」

招待客のTさん
「よし」


招待客のTさん
「事を始めるまで、残り3。のんびりしつつ、そなたの成長を見守るとしてよう……」


みずたまり
「ゆゆっ!ゆゆゆー!」


招待客のTさん
「なんと……水鏡に反抗期とは……成長が著しい」


みずたまり
「ゆゆゆー!」










◆◆のレポート◆

(何かが書かれているようだが、ぐちゃぐちゃで読めない……)

【そう、これは闘争ではなく、泣く子をあやすためのもの。】